広島県道42号大竹湯来線

概要

広島県道42号大竹湯来線は、広島県の西部に位置する大竹市から広島市佐伯区に至る主要な地方道です。この路線は、大竹市玖波一丁目の恵川新橋北詰交差点（国道2号に接続）を起点とし、北上して廿日市市を通過し、最終的に広島市佐伯区湯来町大字多田の国道488号交点に至ります。総延長は約32.05キロメートルを有しています。この路線は、広島県内において、大竹市、廿日市市、そして広島市佐伯区といった複数の自治体を通過しており、特に大竹市と廿日市市の間では境界線を複数回越える複雑なルートをたどります。

歴史

現在の広島県道42号大竹湯来線は、複数の既存路線を再編成する形で成立しました。その始まりは1971年 6月26日、建設省（当時）の告示によって主要地方道として認められたことに遡ります。この新しい主要地方道のルートは、かつての広島県道大竹佐伯線の全線に加え、山口県道・広島県道徳山廿日市線、広島県道川角佐伯線、広島県道虫道廿日市線、広島県道市垣内佐伯線、そして広島県道和田佐伯線のそれぞれ一部を取り込む形で設定されました。

その後、広島県は1972年 3月21日の県告示で、この路線を「広島県道30号大竹湯来線」として正式に県道として認定しました。同年11月1日には、都道府県道の標識設定に伴う広島県内の県道番号の再編が行われ、本路線は現在の「広島県道42号大竹湯来線」という名称と番号に変更されました。

路線の終点については、その後の周辺路線の整備に伴い何度か変更されています。1982年12月6日には、広島県道41号五日市筒賀線が新たに認定された影響で、本路線の終点が佐伯郡湯来町和田（当時）から佐伯郡湯来町多田（当時）へと短縮されました。さらに1993年 4月1日、終点付近を通過していた道路が国道488号に昇格したことに伴い、終点の地名（佐伯郡湯来町多田）自体は変わりませんでしたが、路線はさらに短縮されることとなりました。この国道488号昇格は、島根県道・広島県道4号益田廿日市線の廃止と引き換えに行われたため、かつて佐伯郡佐伯町友田から佐伯郡湯来町多田にかけて存在した、両路線間の長大な重複区間は解消されました。同年の5月11日、本路線は建設省によって改めて主要地方道として再指定を受けています。

21世紀に入り、沿線自治体の合併が進みました。2003年 3月1日には佐伯郡佐伯町が廿日市市に編入され、2005年 11月3日には佐伯郡大野町も廿日市市に編入されました。また、2005年 4月25日には佐伯郡湯来町が広島市に編入されたため、終点の地名が広島市佐伯区湯来町多田に変更されるとともに、旧湯来町域における道路管理者が広島県から広島市へと引き継がれました。さらに、道路管理権限の移譲も行われ、2006年 6月1日には大竹市の区間、2008年 6月1日には廿日市市の区間（広島県道30号廿日市佐伯線との重複区間を除く）の管理権限がそれぞれ広島県から大竹市、廿日市市へと移されました。

路線状況

本路線の起点である大竹市側から廿日市市河津原の広島県道30号廿日市佐伯線交点までは、概ね1.5車線から2車線の道路が続いています。特に起点周辺や渡ノ瀬ダム湖の周辺ではやや狭い1.5車線となる箇所が見られます。河津原交差点からは、広島県道30号廿日市佐伯線との重複区間に入ります。

廿日市市永原の玖島分かれ交差点で県道30号との重複を終え、再び単独区間となります。この廿日市市玖島から同市玖島平谷にかけての区間は2車線が確保されています。しかし、玖島平谷を過ぎると、終点の広島市佐伯区湯来町大字多田に至るまでの区間は道路状況が一変します。この区間は1車線程度の幅員しかなく、道幅が狭いうえに急な上り下りやカーブが連続します。山間部を通過するため落石の危険も多く、舗装の状態も荒れている箇所が見られます。このような状況から、大型車両の通行はこの区間では困難です。また、異常気象時には通行規制が実施されることがあり、特に廿日市市玖島から広島市佐伯区湯来町多田までの8.3キロメートル区間が規制対象となります。さらに、毎年12月15日から翌年3月15日までの冬季期間は、廿日市市玖島から広島市佐伯区湯来町多田までの約7.0キロメートル区間が積雪や路面凍結のため閉鎖され、通行できなくなります。廿日市市玖島には、かつて島根県益田市までを結んでいた島根県道・広島県道4号益田廿日市線の名残として、益田方面への距離が記された案内標識が残されています。

重複する主な区間

本路線は途中でいくつかの他の県道と重複しています。

広島県道289号栗谷大野線（大竹市松ヶ原町 - 廿日市市大野にかけて）
広島県道460号栗谷河津原線（廿日市市友田 - 廿日市市河津原の河津原交差点にかけて）
広島県道30号廿日市佐伯線（廿日市市河津原の河津原交差点 - 廿日市市永原の玖島分かれ交差点にかけて）
広島県道294号虫道廿日市線（廿日市市玖島地内）

地理

本路線が通過する主な自治体は、大竹市、廿日市市、広島市（佐伯区）です。地理の項目で言及した通り、大竹市と廿日市市の間では境界線を何度か跨ぎながら進みます。

主要な交差点や接続する道路としては、起点で国道2号、終点で国道488号と交わるほか、広島県道30号廿日市佐伯線、広島県道289号栗谷大野線、広島県道460号栗谷河津原線、広島県道294号虫道廿日市線など、多くの県道と接続または重複します。

また、沿線にはJR西日本の山陽本線玖波駅が比較的近い場所に位置しています。その他、大竹市立玖波中学校の西方にある山頂には、生徒が使用する望遠視力板というユニークな物件があり、メディアで取り上げられたこともあります。路線の途中では渡ノ瀬ダムやその貯水池のそばを通過するほか、佐伯歴史民俗資料館、広島県立広島西特別支援学校、国立病院機構広島西医療センターといった施設も沿線に点在しています。

道路管理者

本路線の管理は、その区間によって複数の自治体が行っています。大竹市の区間は同市建設部土木課が、廿日市市の区間（広島県道30号廿日市佐伯線との重複区間を除く）は同市佐伯支所建設グループが、廿日市市内の広島県道30号との重複区間は広島県西部建設事務所廿日市支所が、そして広島市佐伯区の区間は広島市佐伯区役所農林建設部維持管理課がそれぞれ管理を担当しています。

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