広沢賢一

広沢賢一

広沢賢一（ひろさわ けんいち、1919年3月15日 - 2003年2月15日）は、日本の政治家、政治活動家として知られています。彼は日本社会党から衆議院議員に1度当選しました。東京府出身。

生涯

早稲田大学政治経済学部を1942年に卒業後、第二次世界大戦の敗戦を経て、大内兵衛や鈴木茂三郎が設立した社会主義政治経済研究所の一員となりました。1949年には日本社会党本部書記に就任し、その後は鈴木の秘書を務める傍ら、党政策審議会事務次長や組織部長企画室長などの要職を歴任しました。

1959年、広沢は浅沼稲次郎社会党書記長が率いる中華人民共和国訪問団に随行しました。当時、右派出身であった浅沼は、左派の鈴木茂三郎・佐々木更三派に属する広沢を「ゴクサ（極左の誤読）」と呼んでいました。しかし、浅沼は広沢に演説の草稿作成を依頼し、広沢は浅沼の意向を汲み、左派色の強い草稿を作成しました。その際、広沢は文中にある「アメリカ帝国主義についておたがいは共同の“何”」という表現を巡り、「敵」「課題」などの候補を検討しましたが、浅沼は最終的に「敵」という言葉を選びました。この結果、「米帝国主義は日中共同の敵」という浅沼の演説は、中国側からは歓迎されたものの、アメリカ合衆国や自由民主党、さらには社会党内からも大きな批判を浴びることとなりました。

1963年の第30回衆議院議員総選挙では、東京都第1区から社会党公認で立候補しましたが、次点で落選しました。当初は東京都第6区からの立候補を予定していましたが、佐々木派を支援する全逓の意向により、広沢は別の選挙区への鞍替えを余儀なくされました。東京都第1区は浅沼稲次郎の暗殺後、未亡人の浅沼享子が1期務めており、享子は夫に近い人物を後継者として望んでいました。しかし、佐々木派の曽我祐次が強引に広沢を鞍替えさせたため、享子は激怒し、中央執行委員会で委員たちに「曽我の陰謀に引っ掛かるな」と訴えましたが、最終的には全逓の意向が尊重され、広沢の1区からの立候補が決定しました。

1967年の第31回衆議院議員総選挙で、広沢は再び東京都第1区から立候補し、初当選を果たしました。しかし、1969年の第32回衆議院議員総選挙では落選し、議席を加藤清政に明け渡すこととなりました。

その後、広沢は労働大学講師、日中友好協会委員、木村経済研究所理事などを歴任しました。彼は左派として社会党の社民主義化を批判し、反米、国際連合憲章の擁護、護憲などを主張しました。晩年まで左翼統一戦線の必要性を訴え、社会民主党、新社会党、日本共産党などの党員と親交を深めました。2003年2月15日、広沢賢一は心筋梗塞のため、東京都渋谷区の病院で生涯を閉じました。

広沢賢一は、激動の昭和時代において、一貫して社会主義の理想を追求した政治家であり、その思想と行動は、現代の政治にも示唆を与え続けています。

もう一度検索