広視野惑星カメラ

広視野惑星カメラ（WFPC）：ハッブル宇宙望遠鏡初期の глаза

広視野惑星カメラ (Wide Field and Planetary Camera, WFPC) は、1990年4月から1993年12月までハッブル宇宙望遠鏡 (HST) に搭載されていたカメラです。打ち上げ当初からの主要機器の一つでしたが、主鏡の不具合により、その機能は大きく損なわれました。しかし、WFPCは、比較的明るい天体のユニークで有益な高解像度画像を数多く撮影し、天文学における数々の発見に貢献しました。

WFPCの開発経緯

WFPCは、カリフォルニア工科大学の惑星科学者であるジェームズ・ウェストファールによって提案され、NASAのジェット推進研究所 (JPL) が設計、製造、運用を担当しました。その提案は1976年まで遡ります。当時、CCDイメージセンサは天体撮影にようやく使われ始めたばかりの頃でしたが、撮影用にCCDを備えた最初のKH-11 Kennan偵察衛星が1976年12月に打ち上げられました。この高解像度イメージセンサの登場が、多くの天文学者をハッブル宇宙望遠鏡へのCCD搭載へと強く促したのです。

WFPCの構造と機能

初代のWFPCは、それぞれが800x800ピクセルのテキサス・インスツルメンツ製CCDからなる2つの独立したカメラで構成され、互いに近接した視野をカバーするように配置されていました。広視野カメラ (Wide Field Camera) は0.1秒の解像度を持ち、角解像度を犠牲にして、暗い天体をパノラマで撮影することを目的としていました。一方、惑星カメラ (Planetary Camera) は0.043秒の高い解像度を持ち、高解像度での観測を可能にしていました。これら2つのカメラの選択は、45度回転する四面体のピラミッドによって行われました。

WFPCの改良と後継機

1993年12月、STS-61スペースシャトルミッションによる修理の際、WFPCは改良版のカメラである広視野惑星カメラ2 (WFPC2) と交換されました。WFPC2は、ハッブル宇宙望遠鏡の主鏡の不具合を補正するために必要な補償光学機構を備えていました。初代のWFPCとWFPC2を区別するため、WFPCは広視野惑星カメラ1 (WFPC1) と呼ばれることもあります。

地球に帰還後、WFPC1は分解され、その一部の部品は広視野カメラ3 (WFC3) の製造に再利用されました。WFC3は、2009年5月14日のSTS-125ミッションで、WFPC2と交換する形でハッブル宇宙望遠鏡に取り付けられました。

まとめ

広視野惑星カメラは、ハッブル宇宙望遠鏡の初期の観測において重要な役割を果たしました。主鏡の不具合という困難な状況にもかかわらず、数々の素晴らしい画像を撮影し、天文学の発展に大きく貢献しました。その技術は、後継機であるWFPC2やWFC3へと引き継がれ、現在も宇宙の解明に役立っています。

参考資料
Space Telescope Science Institute: Wide-Field Planetary Camera 2
Space Telescope Science Institute: Wide Field Camera 3
NASA: Wide Field Camera 3
ESA/Hubble: Wide-Field Planetary Camera 2
* ESA/Hubble: Images taken with WFPC2

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