STS-61

STS-61：ハッブル宇宙望遠鏡初のサービスミッション

STS-61は、スペースシャトル・エンデバーによる5度目の飛行であり、ハッブル宇宙望遠鏡にとって最初のサービスミッションです。1993年12月2日にケネディ宇宙センターから打ち上げられ、約11日間のミッションで、宇宙望遠鏡の性能回復と機能向上が図られました。

ミッションの目的

STS-61の主な目的は、ハッブル宇宙望遠鏡の球面収差を修正し、その観測能力を回復させることでした。1990年4月の打ち上げ以来、宇宙望遠鏡の視力は球面収差によって損なわれていました。このミッションでは、新しいメインカメラと補正光学パッケージが設置され、機器の更新や新しい太陽電池アレイの設置も行われました。

複雑なミッションと宇宙遊泳

STS-61は、スペースシャトルの歴史の中でも最も複雑なミッションの1つとされ、記録となる5度の宇宙遊泳が行われました。疲労軽減のため、宇宙遊泳は2組の宇宙飛行士が交互に行いました。

搭乗員

船長：リチャード・コヴィー
操縦手：ケネス・バウアーソックス
ミッションスペシャリスト1：キャスリン・C・ソーントン
ミッションスペシャリスト2：クロード・ニコリエ (ESA)
ミッションスペシャリスト3：ジェフリー・ホフマン
ミッションスペシャリスト4：ストーリー・マスグレーブ
* ミッションスペシャリスト5：トーマス・エイカーズ

5度の宇宙遊泳

1. マスグレイブとホフマン：7時間54分
2. ソーントンとエイカーズ：6時間36分
3. マスグレイブとホフマン：6時間47分
4. ソーントンとエイカーズ：6時間50分
5. マスグレイブとホフマン：7時間21分

ミッションのハイライト

打ち上げと準備

当初、STS-61は第39A発射施設から打ち上げられる予定でしたが、10月30日の嵐の後、Payload Changeout Roomが汚染されたため、第39B発射施設に移されました。打ち上げは12月1日に予定されていましたが、天候の悪化により延期され、12月2日に打ち上げられました。

ハッブル宇宙望遠鏡とのランデブー

エンデバーは、一連の燃焼によってハッブル宇宙望遠鏡に接近しました。宇宙飛行士は、ロボットアームや宇宙服のチェックを行い、ランデブーに備えました。3日目には、ロボットアームを用いてハッブル宇宙望遠鏡を掴み、シャトルのカーゴベイに係留しました。

宇宙遊泳での作業

4日目から8日目にかけて、5度の宇宙遊泳が行われました。宇宙飛行士たちは、速度センサユニットの交換、太陽電池アレイの交換、広視野惑星カメラの交換、COSTARの設置、太陽電池アレイの運行用エレクトロニクスの交換など、多くの作業を実施しました。宇宙遊泳中には、ジャイロドアのラッチの不具合や宇宙服のトラブルなど、様々な問題が発生しましたが、宇宙飛行士と地上管制官の連携によって解決されました。

ハッブル宇宙望遠鏡の放出と帰還

9日目には、ハッブル宇宙望遠鏡のデータインターフェースユニットに懸念が生じましたが、トラブルシューティングによって解決されました。その後、ハッブル宇宙望遠鏡はエンデバーから放出され、観測を再開しました。エンデバーは12月13日にケネディ宇宙センターに着陸し、ミッションを完了しました。

ミッションの成果

STS-61は、ハッブル宇宙望遠鏡の性能を回復させ、その後の観測に大きく貢献しました。また、宇宙での修理や機器の更新に関する貴重な経験をもたらし、今後の宇宙ミッションに活かされることとなりました。

このミッションでは、ジェフリー・ホフマンがハヌカーの祭日にドレイドルを回して見せるなど、宇宙での文化的な瞬間もありました。

STS-61は、宇宙開発の歴史における重要なマイルストーンであり、ハッブル宇宙望遠鏡の輝かしい成果を支える基盤となりました。

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