庚申待

庚申待（こうしんまち）とは

庚申待とは、庚申（かのえさる）の日に、人々が集まって神仏を祀り、徹夜で過ごす日本の民間信仰です。「宵庚申（よいこうしん）」や「おさる待ち」とも呼ばれます。村落共同体を中心に庚申講（こうしんこう）という集まりを組織し、この行事を行っていました。庚申講は、庚申会（こうしんえ）やお日待ちとも呼ばれます。

庚申待の由来

庚申待は、中国の道教に由来する信仰です。道教の伝説によると、人間の体内には三尸（さんし）という虫が棲んでおり、常に人間の悪事を監視しています。三尸の虫は、庚申の日の夜、人が眠っている間に天に昇り、天帝（閻魔大王）にその人間の行いを報告するとされています。報告された内容によっては、寿命が縮められたり、死後に地獄・餓鬼・畜生の三悪道に堕とされたりすると信じられていました。

人々は、三尸の虫が天に昇って悪事を告げ口するのを防ぐために、庚申の夜に集まって神仏を祀り、徹夜で宴会を開いて過ごしました。これが庚申待の始まりです。庚申待を3年18回続けた記念として庚申塔が建立され、現在も各地に残っています。

庚申信仰の広がりと変遷

庚申信仰は、古くから日本に伝わっていたと考えられています。『枕草子』にも庚申待に関する記述が見られます。江戸時代に入ると、庚申信仰は庶民の間にも広まりました。現代では庚申信仰は衰退しましたが、親睦会などの名を変えて庚申待の形を残している地域も存在します。

仏教では、庚申の本尊として青面金剛（しょうめんこんごう）や帝釈天（たいしゃくてん）が祀られます。神道では猿田彦神（さるたひこ）が祀られます。これは、庚申の「申」が猿田彦の猿と結び付けられたためと考えられています。また、猿は庚申の使いとされ、庚申塔には「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿が彫られることが多く、山王信仰（さんのうしんこう）もこの庚申信仰から生まれたと言われています。

関連項目

庚申信仰
干支
庚申街道
庚申堂
庚申寺
十王信仰
さるぼぼ
庚申社

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