府藩県三治制下の日本の人口統計

府[[藩 県三治制]]下の日本の人口統計

府[[藩県三治制]]下の日本の人口統計は、明治維新から廃[[藩置県]]に至るまでの移行期における人口調査をまとめたものです。この期間は、江戸時代の宗門人別改帳制度から、明治政府による全国統一戸籍制度へと移行する過渡期にあたります。そのため、人口統計は複数の資料に基づいており、それぞれの資料には欠落や重複が見られます。

背景

江戸時代には、キリシタン取り締まりを目的として宗門人別改帳制度が確立しました。幕府は、1721年以降、6年ごとに全国の領民人口を集計した諸国人数帳を作成していました。しかし、1852年の調査は黒船来航や徳川家慶の死去により集計されませんでした。明治維新を迎えるまでの約25年間、全国規模の人口集計は行われなかったのです。

明治維新後、戊辰戦争で接収された天領には府[[県制]]が敷かれましたが、藩は存続したままでした。1869年、版籍奉還を前に民部省は各府藩県に戸籍編製の通達を出し、1870年には庚午戸籍、1871年には辛未戸籍が作成されました。また、郷村高帳や過去5年間の税収報告も提出されました。これらの報告をもとに、大蔵省は「庚午年概算」として総人口を算出しました。

戸籍制度の変遷

江戸時代の人別帳は藩や身分によって書式が異なっていましたが、明治政府は全国統一の戸籍書式を導入しました。これは、すべての国民を戸籍に漏れなく登録し、正確な人口を把握することを目的としていました。京都府が作成した戸籍仕法書がその基礎となり、その前身は長州藩の仕法書です。しかし、全国統一の戸籍が完成するのは、1871年の戸籍法と解放令を受けて作成された壬申戸籍を待つことになります。

明治3年の人口資料

明治3年（1870年）の人口をまとめた資料は複数存在しますが、それぞれに欠落や重複があります。原史料の大部分は関東大震災などで焼失しており、正確な数字を知ることは困難です。これらの資料には、原則として北海道開拓使や樺太開拓使の人口は含まれていません。

主な資料

「庚午年概算」および「Notice sur l'Empire du Japon et sur sa Participation a l'Exposition Universelle de Vienne」
関山直太郎が発見した「庚午年概算」は、男女別人口と族籍別戸数を記録した手書きの統計書類です。
1873年のウィーン万国博覧会の公式ガイドでは、日本の人口が708万5082戸3287万6134人と紹介されていますが、これは1871年の人口と解釈されることもあります。
大江卓関係文書「藩々租税取調」
国立国会図書館憲政資料室所蔵の資料で、明治3年の人口3478万5321人が記載されています。これは、明治3年頃に公的に作成された文書に基づくと推測されています。
千葉県郷土資料「明治初年戸口調」
千葉県図書館所蔵の資料で、明治4年7月に書き写されたとされています。ここにも、3478万5321人の人口が記載されています。大江卓関係文書とほぼ同じ内容で、ともに明治3年頃の公的文書が元になっていると考えられています。
明治史要「使府県戸口概表」
『明治史要』に収録されている資料で、廃[[藩置県]]直前の1使3府302県の戸数と人口が集計されています。
ただし、人口は庚午年概算と同じく、明治2年、明治3年をベースにした本籍人口と考えられています。
大隈重信関係資料「府藩県石高人口表」
早稲田大学図書館所蔵の資料で、明治2年調とされていますが、実際の人口は『明治史要』などと同一のものが多いです。
調査対象は3府266藩40県で、多度[[津[[藩]]]]と丸亀[[藩]]が廃藩される間の期間に作成されたものと推測されています。
統計集誌「人員表」
雑誌『統計集誌』に掲載された資料で、明治3年の調査結果を元に、一部明治2年の調査結果を補完したものです。
調査対象は1使3府265藩41県で、龍岡[[藩]]が廃藩されるまでの期間に作成されたものと推測されています。

府藩 県別人口

これらの資料を基に、府藩県別の人口をまとめた表が作成されています。各資料にはそれぞれ特徴があり、集計方法や対象範囲が異なるため、注意が必要です。

まとめ

府[[藩県三治制]]下の日本の人口統計は、明治政府が近代的な統計制度を確立する上で重要な資料です。複数の資料を比較検討することで、当時の人口構造や社会情勢をある程度把握することができます。しかし、資料の欠落や重複、集計方法の違いなどから、正確な人口を特定することは非常に難しいと言わざるを得ません。今後の研究によって、より詳細な解明が期待されます。

参考資料

大塚武松編『藩制一覧』
高橋梵仙『日本人口史之研究』
関山直太郎『近世日本の人口構造』
速水融監修『国勢調査以前日本人口統計集成』

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