度会大国玉比賣神社

概要

度会大国玉比賣神社（わたらいおおくにたまひめじんじゃ）は、三重県伊勢市に位置する伊勢神宮外宮の摂社の一つです。この神社は、外宮の神域を形成する神宮林の中にあり、自然豊かな環境に囲まれています。境内には直接参道がないため、訪れるには外宮の宮域に沿って進む必要があります。参道の入口は、外宮の西南西にあたる場所にあります。この神社は、草奈伎神社、大間国生神社、度会国御神社に続くもので、外宮の摂社の中では4番目の重要性を持つとされています。

祭神として祀られているのは、大国玉命（おおくにたまのみこと）と弥豆佐佐良比賣命（みずささらひめのみこと）です。両者は度会地方に根ざした地主の神として親しまれています。神話によれば、神武天皇の時代に伊勢国を治めるために訪れた天日別命（あめのひわけのみこと）が、両神から受けた弓を用いて橋を作ったとされていることから、この神社の意義が想像されます。

境内は、昼間でも薄暗いほどの大木に囲まれた鬱蒼とした環境です。社殿は玉垣によって囲まれていますが、賽銭箱は設けられていません。境内をさらに進むと、外宮の末社である伊我理神社や井中神社も存在しています。

歴史

この神社は、かつて『度会之大国玉姫の社（わたらいのおおくにたまひめのやしろ）』と呼ばれていましたが、現在では『延喜式神名帳』に記載された名前に従い、度会大国玉比賣神社として知られています。櫻井勝之進によると、度会氏という有力者が豊受大神の祭祀を担当していた際に、彼らの氏神も伊勢神宮内に組み込まれたとされています。このことから、度会大国玉比賣神社がその氏神であったことが伺えます。

創建の正確な時期は不明ですが、伊勢神宮外宮に取り入れられる前の時代、即ち雄略天皇22年よりも前から存在していたと思われます。中世には多くの摂末社の祭祀が途絶える中で、この神社は祭りを継続し、鎮座地も移ることなく現代に至るまでその伝統を受け継いできました。境内からは須恵器と呼ばれる陶器の破片が見つかっており、古代の祭りや生活の跡が伺えます。

交通アクセス

度会大国玉比賣神社へのアクセスは比較的便利です。JR参宮線や近鉄山田線の伊勢市駅南口からは外宮参道を通って徒歩約15分で到着できます。また、三重交通の「伊勢市駅前」バス停からも徒歩15分程度です。最寄りの「外宮前」バス停からは約10分の距離です。車で訪れる場合は、伊勢自動車道の伊勢西ICから県道32号を北上し、約5分でアクセス可能ですが、駐車場からは徒歩約13分かかります。

外宮前からは、宮域に沿って御木本道路を通り進み、旧豊宮崎文庫跡の西南西にある参道口を目指します。参道口からは石段を上ると社殿にたどり着きます。自然の中で静かに佇む度会大国玉比賣神社は、訪れる人々に歴史的な価値と神秘的な雰囲気を提供する場所です。

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