座頭市血笑旅

座頭市血笑旅

1964年に公開された『座頭市血笑旅』は、勝新太郎主演の人気時代劇シリーズ「座頭市」の第8作目にあたる作品です。監督は三隅研次が務め、脚本は星川清司、吉田哲郎、松村正温が担当しました。

あらすじ

物語は、座頭市が旅の途中で体調を崩した女性と出会う場面から始まります。市は彼女に自分の乗っていた籠を譲りますが、その籠が市のものであると勘違いした悪党、和平次一味が襲撃。女性は命を落としてしまいます。実はこの女性は、宮木村の宇之助の妻であり、夫の借金返済のために出稼ぎに出ていたのでした。故郷に帰る途中での悲劇に、市は責任を感じ、彼女の赤ん坊を宇之助に届けることを決意します。

旅の道中、市は和平次一味に何度も襲撃されますが、持ち前の剣術でこれを撃退。和平次は、同業者の麻古女の半五郎と手を組み、再び市を襲おうとしますが、半五郎一味も市によって皆殺しにされてしまいます。和平次は逃亡。

宮木村へ向かう途中、市は賭場で一儲けします。そこへ、侍の財布を盗んだスリのお香が助けを求めてきます。侍を追い払った市は、お香を赤ん坊の世話役として旅に同行させますが、お香は満足に世話をせず、旅先でスリを繰り返します。やがて二人は口論となります。

旅先の旅館で、お香は力士を怒らせてしまい、市が詫びを入れることになります。しかし、力士に袋叩きにされた市を好機と見た和平次一味が襲撃。市はこれを返り討ちにしますが、和平次は逃げ延びます。お香は赤ん坊の世話をするうちに心を入れ替え、「スリを止める」と市に伝えます。

宮木村に到着した市は、赤ん坊を宇之助に届けますが、宇之助は「妻も子供もいない」と受け取りを拒否します。宇之助は、借金返済を理由に妻を追い出し、ヤクザの親分の娘と結婚して名を挙げようとしていたのです。その性根に憤慨した市は、赤ん坊を連れて帰ります。

市と入れ違いに、和平次が宇之助を訪れ、共に市を殺す計画を立てます。一方、女性の遺髪を寺に届けた市は、住職から赤ん坊を預けるよう提案されます。市は自分で赤ん坊を育てようとしますが、「流れ者のあなたに育てられて、赤ん坊がヤクザになっても良いのか」と諭され、住職に赤ん坊を預けることにします。そこに和平次が現れ、「市を差し出さなければ寺を焼く」と脅します。

市は、和平次たちが待つ山へ向かいます。和平次と宇之助は、市を火攻めにして聴覚を奪い襲いかかりますが、市は反撃し、二人を皆殺しにします。市は赤ん坊とお香に別れを告げ、再び旅に出ます。

スタッフ

企画：高森富夫、財前定生
原作：子母沢寛
脚本：星川清司、吉田哲郎、松村正温
監督：三隅研次
撮影：牧浦地志
録音：大谷巌
音楽：伊福部昭
照明：山下礼二郎
美術：内藤昭
色彩技術：小池清茂
編集：菅沼完二
スチール：西地正満
製作主任：今村喬

出演者

座頭市：勝新太郎
お香：高千穂ひづる
宮木村の宇之助：金子信雄
了海：加藤嘉
文殊の和平次：石黒達也
菊蔵：北城寿太郎
麻古女の半五郎：杉山昌三九
相撲取り小手丑：天王寺虎之助
白首の女：毛利郁子
野呂平太夫：伊達三郎
島蔵：藤山浩二
猪蔵：橋本力
庄屋喜右衛門：南部彰三
* おとよ：川口のぶ

『座頭市血笑旅』は、座頭市シリーズの中でも特にアクションシーンが評価されている作品です。勝新太郎の圧倒的な存在感と、三隅研次監督のスタイリッシュな演出が組み合わさり、見ごたえのある作品となっています。また、人情味あふれるストーリーも魅力で、座頭市の優しさと強さを堪能できる一本です。

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