南部彰三

南部彰三：激動の時代を生きた俳優の生涯

南部彰三（なんぶ しょうぞう、1898年6月26日 - 1981年11月16日）は、明治から昭和期にかけて活躍した日本の俳優です。大分県に生まれ、代用教員や軍隊を経て上京。関東大震災後の1923年、新国劇の野外劇に感銘を受け、俳優を志すようになりました。

1924年、日本映画俳優学校に入学。同期には小杉勇や見明凡太郎といった著名な俳優がいました。卒業後、日活大将軍撮影所に入社し、1926年、『日輪』で映画デビューを果たします。その後、数々の映画で主演や助演を務め、岡田時彦や夏川静江といったスター俳優と共演しました。特に、田坂具隆監督とは緊密な関係を築き、数々の作品で起用されました。

日活時代には、ロサンゼルス五輪の金メダリスト、南部忠平を演じた『天晴れ三段跳』など話題作にも出演し、人気を博しました。しかし、1934年、日活を退社し、大都映画、新興キネマと渡り歩き、その後も様々な映画製作会社で活躍しました。時代劇から現代劇まで幅広く演じ、個性的な脇役として多くの作品で存在感を示しました。

戦後には、南部彰三と芸名を改め、大映京都撮影所を中心に活動。熊井啓監督の『お吟さま』（1978年）まで、長きにわたって第一線で活躍を続けました。晩年は妻に先立たれ、北海道や埼玉県で過ごしたのち、1981年に83歳で亡くなりました。

映画出演作は『火柱』『愛の風景』『東京行進曲』『八剣飛龍』『蒼白き薔薇』『霧の夜の客間』『受難華』『青春よいづこ』『シンガポール總攻撃』『マライの虎』『十三の眼』『透明人間現わる』『雨月物語』『山椒大夫』『花の白虎隊』『宇宙人東京に現わる』『千代田城炎上』『疵千両』『うっちゃり姫君』『裁かれる越前守』『第三の影武者』『妖僧』『女系家族』『新・鞍馬天狗 五条坂の決闘』『若親分喧嘩状』『大殺陣 雄呂血』『刺青』『華岡青洲の妻』『若親分を消せ』『古都憂愁 姉いもうと』『ひとり狼』など多岐に渡ります。

テレビドラマにも出演し、『新吾十番勝負』『銭形平次』『木枯し紋次郎』『助け人走る』『座頭市物語』『新木枯し紋次郎』『必殺からくり人・富嶽百景殺し旅』など数多くの作品で、個性的な役柄を演じきりました。

俳優業の傍ら、日芸信用組合の理事や京都芸術国民健康保険組合の常務理事も務め、1977年には厚生労働大臣賞を受賞するなど、社会貢献活動にも尽力しました。

南部彰三は、俳優としてだけでなく、社会人としても充実した人生を送ったと言えるでしょう。数々の作品に出演し、人々を魅了した彼の演技は、今もなお語り継がれています。彼の波瀾万丈な人生は、日本の映画史において重要な足跡を残しました。 多忙な日々を送る中で、彼は自身の芸名も幾度と変更しています。南部章三、南部彰といった名前も使用していました。彼の生き様は、まさに時代の変遷を映し出す鏡と言えるでしょう。そして、彼が築き上げた功績は、後世の俳優たちに大きな影響を与え続けています。 彼の多様な経験と才能は、日本の映画界に多大な貢献を果たしました。その功績は今もなお高く評価されています。

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