庾黔婁

庾黔婁の生涯とその業績

庾黔婁（ゆけんろう）は、南朝斉から梁の時代にかけて活動した官僚であり、彼の人柄や業績は後世に語り継がれています。彼の字は子貞または貞正で、本貫は南陽郡新野県にあります。生没年は詳らかではありませんが、彼の卓越した業績から、二十四孝の一人としても知られています。

家族と背景

庾黔婁は、司徒主簿の庾易を父に持ち、幼少期から学問に励む熱心な性格を持っていました。彼の冷静沈着な性質は、当時の著名な学者である劉虯や宗測に高く評価され、信頼を寄せられていました。庾黔婁には弟が二人おり、庾於陵や庾肩吾がいます。

職業経歴と功績

若い頃、庾黔婁は荊州の主簿として職を始め、後に平西行参軍としても知られる地位に転じました。彼の治績は評価が高く、永元1年（499年）には孱陵県の県令に任じられました。しかし、父が病に倒れた際には、すぐにその職を辞して家に帰るという姿勢を見せました。この行動は、彼の家族に対する愛情と責任感を示しています。

父の庾易が亡くなると、庾黔婁は喪に服し、過度の喪服を着ることによってその思いを表現しました。墓の近くに小屋を建て、父の思い出に浸りながら日々を過ごしました。彼の父への献身的な姿勢は名士としての彼の品位を際立たせています。

和帝の即位とその後の活動

天監元年（502年）、南朝梁の和帝が即位すると、庾黔婁は鎮軍の蕭穎冑から起用を提案されましたが、自らの信念からこれを固辞しました。それでも喪が明けると、西台尚書儀曹郎に任命され、さらに活躍の場を広げていきました。天監元年に鄧元起が益州刺史に就任すると、庾黔婁はその下で府長史や巴西・梓潼二郡の太守として任命され、実績を残しました。

その後、成都が平定された際、他の官僚が珍宝を手にした中、庾黔婁は一切の恩恵を受け取らず、代わりに書物を求めました。これには彼の清廉潔白な性格が色濃く表れており、部下の民衆からも支持されました。天監4年（505年）、鄧元起が亡くなると、周囲の者たちが離散する中、庾黔婁は一人で通夜を営み、故人をしのんで棺を故郷に帰しました。

その後、建康に呼ばれ、尚書金部郎としての職を得、「中軍記室参軍」としても活動しました。信任を受けた彼は、昭明太子蕭統の侍読としても知られ、殷鈞や到洽、明山賓らと共に五経の解釈を太子に講義しました。彼の教育者としての役割も重要でした。

晩年と死

最終的に庾黔婁は散騎侍郎、荊州大中正を経て、彼の生涯を閉じることとなります。享年46年という若さでの死去でしたが、その生涯における彼の業績や人柄は、後の世代に対して深い影響を与え続けています。彼の伝記は『梁書』や『南史』に記録されており、今なお多くの人々に知られる存在です。

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