岡田内閣

岡田内閣の概要

岡田内閣は、1934年7月8日に後備役海軍大将の岡田啓介が内閣総理大臣に任命され、1936年3月9日までの間、日本の政治を担当しました。この内閣は、約611日間にわたり、数々の試練に直面することになります。

閣僚人事

岡田内閣が発足した際、閣僚の人事が重要なポイントとなりました。国務大臣は岡田が指名したことにより、各閣僚は1934年7月8日に任命されました。内閣書記官長および法制局長官も同日に任命され、政務次官や参与官はそれぞれ7月19日に任命されました。

内閣の発足と政治情勢

内閣の発足にあたり、元老の西園寺公望は高齢を理由に後継者選びの方針を見直しました。彼は重臣や枢密院議長、内大臣と議論を交わし、政治の安定化を図ったのです。前内閣である齋藤内閣が帝人事件の影響により崩壊したとはいえ、その内閣自体に明らかな失政はなかったという見解で一致したため、岡田は再び海軍からの指導者となることが望まれました。

衆議院においては、民政党が与党となり、貴族院でも同様に支持を受けていました。一方、前回の選挙で300議席を超える安定多数を獲得した政友会は、岡田内閣に対抗する姿勢を明らかにしました。このような難しい状況の中、岡田内閣は挙国一致内閣の形を模索しましたが、結局政友会からの非主流派を取り込む形となったのです。

内閣の困難な状況

内閣が発足してから約5か月後、健康不安を抱えていた大蔵大臣の藤井が急病を理由に辞任する事態が発生。彼の後任として高橋是清が入閣しましたが、政友会の執行部は党議違反を理由に彼を除名することはできず、これにより政党間の亀裂が一層深まることとなります。

岡田内閣はまた、天皇機関説問題に関しても軍部からの圧力に悩まされ、国際社会の中での立場を模索しなければならない状況にありました。さらに、第二次ロンドン海軍軍縮会議から脱退し、軍の華北進出を許可するなど、さまざまな重要課題を抱えていました。

内閣の崩壊

1936年1月21日には政友会が提出した内閣不信任決議が可決され、岡田は衆議院を解散しました。その後の総選挙では、民政党が議席数で優位に立ち、政局が一時は安定を見せましたが、それから間もなくして二・二六事件が発生し、岡田の内閣運営は再び試練を迎えることになりました。

岡田は青年将校による襲撃を受けながらも、誤認による殺害事件を経て無事に逃れることができましたが、先代の内閣のメンバーや自身の義弟を失いました。その結果、岡田は自己の責任を強く感じ、1936年3月9日に内閣総辞職を果たしました。

参考文献

• - 秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年
• - 秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年

このように岡田内閣は、内外の困難を抱えつつも、戦前日本の政治史に重要な軌跡を残しました。

もう一度検索