馬場鍈一

馬場 鍈一の生涯と業績

馬場鍈一（ばば えいいち、1879年10月5日 - 1937年12月21日）は、日本の著名な政治家であり、大蔵官僚でした。彼は、法制局長官や日本勧業銀行の総裁、さらには貴族院の勅選議員、大蔵大臣までの重要な役割を数多く果たしてきました。また、広田内閣では蔵相として、第一次近衛内閣では内務大臣を務めるなど、特に積極財政派としての姿勢が強烈な印象を残しました。

生い立ちと教育

東京府芝区（現東京都港区）に生まれた馬場は、旧幕臣・山本時光の長男です。家族は貧しかったが、彼は優れた教育を受け、東京帝国大学法科大学を卒業しました。特に、一高時代には後の著名な政治家たちと同室しており、彼らと切磋琢磨しながら成長していきました。

官僚から銀行家へ

大学卒業後、馬場は高等文官試験に首席で合格し、大蔵省に入省しました。彼はその後、横浜税関や韓国統監府での役職を経て法制局に転任し、法制局長官として短期間ではありましたが重要な役割を担いました。1927年には日本勧業銀行の総裁に任命され、農村金融の強化に力を注ぎました。その後の満州事変を契機に、彼は積極財政主義へと転向しました。

馬場財政の展開

1936年に広田内閣が組閣されると、馬場は蔵相として入閣しました。彼は従来の公債漸減主義を捨て、国防強化および地方振興のために増税を行い、公債も増発する方針を打ち出しました。これが「馬場財政」として知られる政策です。省内の大規模な人事刷新を行い、新たな人事配置を練り、強い立場を築いていきました。

しかし、昭和十二年度の一般会計予算案に伴う増税策が民間に大きな影響を与え、商社の行動を急激に変化させていきました。輸入為替の急増や円の下落が引き起こされた混乱は、国政に深刻な影響を及ぼしました。1937年初めには蔵相と陸相の間での「腹切り問答」が政府内の不和を表し、政府は総辞職に追い込まれました。

内務大臣としての役割と死去

その後、馬場は第一次近衛内閣で内務大臣の職を得ましたが、これは軍部や財界からの強い影響を受けた結果でした。彼はこの任期も短く、病気を理由に辞任した後すぐに心筋梗塞で急死しました。享年58歳という短い生涯でしたが、彼の政治的影響はその後も多くの人々に語り継がれることでしょう。

家族と栄典

馬場の妻は会津藩士の蜷川友夫の妹であり、家庭環境もまた彼の政治人生に影響を与えました。彼は従二位、正三位などの位階を持ち、複数の勲章も受けています。硫の王者として称賛される彼の生涯は、時代を超えて評価されています。彼の墓所は生家の菩提寺である品川の海晏寺に設けられ、後に多磨霊園に改葬されました。このように馬場鍈一の存在は、当時の日本における政治や経済の動向を色濃く反映したものでした。

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