廣部雅昭

廣部雅昭について

廣部雅昭（ひろべ まさあき）氏は、1936年1月22日生まれの日本の薬学者です。薬品代謝化学を専門とし、東京大学名誉教授、静岡県立大学名誉教授の肩書を持ちます。新字体で「広部雅昭」と表記されることもあります。

生い立ちと学歴

千葉県木更津市で生まれ、千葉県立木更津高校を卒業後、1960年に東京大学薬学部を卒業。同大学大学院に進学し、化学系研究科で学びました。その後、東京大学薬学部で助手、助教授を経て、1976年に教授に就任。日本初の薬品代謝化学講座を担当しました。1966年には、東京大学から薬学博士の学位を授与されています。

学術活動

廣部氏は、静岡県立大学の学長として、大学院看護学研究科や薬学研究科医療薬学専攻を新設するなど、組織の拡充に尽力しました。都市エリア産学官連携促進事業や21世紀COEプログラムなどのプロジェクト採択も実現させています。学長在任中は、学生カップルのキャンパス内結婚式を許可し、自ら立会人を務めたというエピソードも残っています。

学長退任後は、静岡県学術教育政策顧問として、県内大学の各種プロジェクトを支援しました。また、静岡県知事の石川嘉延氏が推進した産官学連携構想であるファルマバレー構想、フードヒル構想、フォトンバレー構想にも、学術的な見地から提言などのサポートを行いました。静岡文化芸術大学学長の川勝平太氏とともに、石川県政を支える学界ブレーンの一人として活躍しました。

公的活動

公職としては、静岡県公安委員会委員を2期務め、委員長にも就任しています。また、静岡健康・長寿学術フォーラム組織委員会の委員長なども歴任しました。

研究内容

専門は薬学、特に薬品代謝化学です。チオレート軸配位ポルフィリン鉄錯体の合成に成功し、世界初の安定なシトクロムP450モデル錯体として知られています。また、シトクロムP450化学モデル系を実際の薬物代謝実験に応用する試みも行い、比較代謝化学的パターン解析法を考案しました。創薬分野では、鎮痛効果を持つモルフィンエポキシド誘導体や、パーキンソニズム発症抑制作用のあるテトラヒドロイソキノリン誘導体を発見しています。

これらの学術的な業績に対し、日本[[薬学会]]学会賞など数々の賞が授与されています。また、日本化学会名誉会員にも推挙され、東京大学などの名誉教授にも任じられました。2011年には、教育研究功労により瑞宝中綬章を受章しています。

親族

ミュージシャン・水中写真家の広部俊明氏は実子、薬学者の廣部千恵子氏は妻です。東京大学名誉教授の水島三一郎氏は岳父、参議院議員の水島裕氏は義兄、衆議院議員の水島広子氏は義姪にあたります。また、皇后美智子様は義理の従姉にあたるなど、皇室とも親戚関係にあります。

受賞歴と栄典

1995年 - 日本[[薬学会]]学会賞
2011年 - 瑞宝中綬章

主な著作

廣部氏は、多数の書籍を執筆・編集しています。以下はその一部です。

『酸素添加酵素チトクロームP450機能を有する分子の設計と機能解析』(1987年)
『代謝化学的分子修飾によるモルヒネ系非麻薬性鎮痛薬の開』(1987年)
『スーパーオキシド消去を作用機序とする新規抗炎症剤の開発』(1990年)
『比較代謝化学的手法によるP-450機能性人工触媒の創製と薬物代謝研究への応用』(1993年)
『パーキンソン病関連内在性脳内アミンをリード化合物とする抗パーキンソン病薬の開発』(1994年)
『バイオメディカルクロマトグラフィー』(1981年、編集)
『合成医薬品』(1989年、編集)
『薬物の代謝』学生版(1990年、編集)
『新・薬学概論』(1997年、編集)

関連事項

エポキシド
錯体
シトクロムP450
杉浦幸雄 (薬学者)
パーキンソン症候群
モルヒネ

外部リンク

KAKEN 科学研究費助成事業データベース
論文一覧（KAKEN、CiNii）
プロフィール - 静岡県公安委員会の公式ウェブサイト

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