建御名方彦神別命

建御名方彦神別命（たけみなかたひこかみわけのみこと）

建御名方彦神別命は、諏訪信仰における神であり、特に信濃国で信仰されています。一般的には、建御名方神と八坂刀売神の間に生まれた長子とされています。

概要

『延喜式』神名帳に記載されている信濃国水内郡の式内社、健御名方富命彦神別神社の祭神として知られています。この神社は、建御名方彦神別命を主祭神としており、その存在は古くから認識されていたことがうかがえます。

文献においては、持統天皇5年（691年）に天皇の命によって信濃国に「水内神」が祀られたという記録が初見です。この「水内神」は、『延喜式』神名帳には記載されていませんが、水内郡で唯一の名神大社である健御名方富命彦神別神社を指すとされています。

建御名方彦神別命を明確に祀る神社は、長野市信州新町にある健御名方冨命彦神別神社のみです。しかし、飯山市の健御名方富命彦神別神社では、御子神6柱が祀られており、その信仰の広がりを示しています。

系譜

建御名方彦神別命は、建御名方神と八坂刀売神の間に生まれた子とされ、御子神には、庭津女神、馬背神、八須良雄命、知努命、沙南豆良姫命（一説に佐那都良雄命）、武彦根命がいます。

後裔氏族

建御名方彦神別命の子である智弩神（智努命）は、千野氏の祖先とされています。このことから、建御名方彦神別命の信仰は、特定の氏族を通じて受け継がれてきたことがわかります。

祀る神社

建御名方彦神別命は、以下の神社で祀られています。

健御名方富命彦神別神社（長野県長野市信州新町）：主祭神
妻科神社（長野県長野市南長野）：祭神の一柱
諏訪大社上社前宮 摂社・若御子社（長野県茅野市宮川）：若御子神として
諏訪大社下社春宮 摂社・若宮社（長野県諏訪郡下諏訪町）：若宮神として
諏訪大社下社秋宮 摂社・若宮社（長野県諏訪郡下諏訪町）：若宮神として

これらの神社は、建御名方彦神別命の信仰が、諏訪地域全体に広がっていることを示しています。

関連事項

建御名方彦神別命の信仰を理解する上で、以下の神々や氏族、文化も関連しています。

建御名方神：父神
八坂刀売神：母神
出雲族：建御名方神との関連が指摘される
海人族：諏訪信仰との関連が指摘される
諏訪氏：諏訪地方の有力な氏族
* 木蘇国造：古代の地方豪族

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