建設者同盟

建設者同盟の歴史と役割

概要

建設者同盟（けんせつしゃどうめい）は、1919年11月に早稲田大学を中心に設立された学生団体であり、日本における学生運動の一端を担った存在です。この団体は大正デモクラシー期において、東京帝国大学の新人会と並ぶ重要な学生組織となりました。

設立の背景

建設者同盟の出発点は、1918年末に東京帝大で結成された新人会から刺激を受けた早稲田大学の学生たちです。その結果、1919年2月には「民人同盟会」という学生団体が結成されましたが、顧問をめぐる意見の対立からこの団体は分裂を余儀なくされました。こうした状況下で、和田巌や浅沼稲次郎らが脱退し、北沢新次郎を顧問に迎えたことで新たに建設者同盟が誕生しました。

初期の思想と活動

建設者同盟はその結成当初から穏健な思想を持ち、研究や啓蒙活動を中心に据えていました。1920年8月には日本社会主義同盟の発起人に和田が名を連ねていたものの、その活動は主に講演や定例研究会の開催に限定されていました。

会員が増えるにつれて、東京大学、慶應義塾大学、明治大学など他の大学の学生たちも参加するようになり、その結果として大学横断的な組織へと成長しました。

機関誌の創刊と政治的活動への移行

1922年10月には機関誌『建設者』が創刊され、翌月には学生連合会に加盟しました。この時期、顧問の北沢からの提言により、これまでの研究・啓蒙から政治的活動へと重点が置かれるようになりました。具体的には、農業や農民問題に関与し、日本農民組合（日農）関東同盟の結成にも寄与しました。

1923年春には「文化同盟」という新たな学生団体が早稲田大学内で発足し、これにより建設者同盟は社会主義団体として再編成されました。

党派的分裂と解散

しかし、1926年に入ると無産政党の形成を巡る対立が顕在化し、建設者同盟内部での思想的な対立も表面化しました。同年12月には三宅や浅沼らが左派優位の労働農民党を脱退し、中間派の日本労農党を結成しました。この流れを受けて、建設者同盟は解散に至りました。

機関誌の発展

創刊された機関誌『建設者』は、1923年12月号まで刊行され、その後も『青年運動』や『無産階級』などの名称で続けられました。これらの刊行物は、1970年から1972年にかけて法政大学大原社会問題研究所によって復刻され、多くの研究者に利用されています。

まとめ

建設者同盟は、早稲田大学を拠点にした重要な学生団体であり、その活動は農民運動や社会主義運動に大きな影響を及ぼしました。大正デモクラシーの流れの中で、当時の学生たちがどのような思想に基づいて行動し、どのような社会的役割を果たそうとしたのかを考える上で、建設者同盟の歴史は重要な教材となります。

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