労働農民党

労働農民党について

労働農民党（ろうどうのうみんとう）は、日本の戦前期に存在した合法的な左派の無産政党です。一般に「労農党」と略称され、特に1926年の創立以降、労働者と農民の利益を代表する政党として活動しました。この政党はその後の日本政治や社会運動に多大な影響を与えました。

沿革

結成の背景

労働農民党は1926年3月5日に設立されました。この創立は前年に設立された農民労働党の禁止に起因しており、当時の社会情勢は左派に対する厳しい監視と抑圧がありました。当初、この政党は主に右派の立場を取るものでしたが、後には左派が流入することとなります。初代の中央執行委員長には杉山元治郎が選出されましたが、団体内部での対立が顕在化しました。

右派・中間派の分裂

1926年の12月、政党内の右派は分派し、安部磯雄を委員長とする社会民衆党を結成しました。さらに中間派も日本労農党を設立し、労働農民党は主に左派に主導権を握られることとなりました。このように、政党自体が三つの派閥に分かれる状態となりそれぞれが独自の路線を歩むことになりました。

第1回普通選挙の挑戦

労働農民党は、1928年の第16回衆議院議員総選挙において際立った成果を上げました。大山郁夫委員長と細迫兼光書記長の指導のもと、対華非干渉政策や労働法の制定に向けた運動が展開されました。しかし、選挙においては権力の干渉が強く、大山の陣営は香川県で厳しい弾圧を受けました。それにもかかわらず、全国で無産政党中最多の28万票を獲得し、京都府からは水谷長三郎と山本宣治の二名が当選しました。残念ながら、山本はその後、暗殺される悲劇に見舞われました。

結社禁止とその後

選挙直後、共産党の党員が大量に検挙される「三・一五事件」が発生し、労働農民党も結社禁止の処分を受けました。しかし、大山と細迫は「百度解散・百度結党」を掲げ、新たな党の組織を再構築する試みを始めました。この過程でさまざまな対立があったものの、最終的には新労農党として再結成を果たしました。

その後、労働農民党の多くは四つに分かれ、社会大衆党や日本無産党、日本共産党への参加を経て、戦後には日本社会党が結成され、左派の主要なグループとして機能することになりました。このように、労働農民党の流れは日本の政治史において重要な足跡を残しました。

参考文献

この歴史をより深く理解するために、以下の文献を参照することをおすすめします。

• - 麻生久『無産政党とは何ぞ:誕生せる労働農民党』
• - 渡部徹「労働農民党（労農党）」
• - 神田文人「労働農民党」「労働農民党分裂問題」
• - 広川禎秀「労農党」
• - 岡本宏「労働農民党」

これらの資料は、労働農民党の成り立ちや活動を理解するのに有用です。

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