弁天橋 (横浜市)

弁天橋は、神奈川県横浜市中区の大岡川に架かる、国道133号（本町通り）の一部を担う重要な道路橋です。桜木町一丁目と本町六丁目を結び、横浜の交通網において重要な役割を果たしています。

歴史

弁天橋の歴史は古く、1871年（明治4年）に木造の桁橋として初代が架設されたのが始まりです。当時、横浜港と東海道を結ぶ横浜道の迂回路として、この橋は重要な役割を担いました。橋の名称は、東詰付近にあった洲干弁天社に由来します。この弁天社は後に羽衣町へと移転しました。

1872年に横浜駅（現在の桜木町駅）が開業すると、弁天橋は駅と横浜の中心部を結ぶ重要なルートとなりました。関内地区と吉田新田を結ぶ大江橋と共に、横浜の発展に大きく貢献しました。初代の橋は老朽化と交通量の増加により、1873年に木造アーチ橋に架け替えられました。この2代目の橋は、橋台と橋脚にレンガを巻いた鉄筋コンクリートを使用し、幅6～7mの車道と1mほどの歩道を備えていました。橋の四隅にはガス灯が設置され、当時の様子を伝えています。

1908年9月には、交通量の更なる増加に対応するため、プレートガーダー橋に架け替えられました。1923年の関東大震災では被災したものの落橋は免れ、1928年10月に復旧工事が完了しました。しかし、この橋も鋼材の腐食が進み、1976年に現在の橋に架け替えられることとなりました。

現橋

現在の弁天橋は、1976年3月に竣工した4代目の橋です。鋼床板鋼鈑桁3連の桁橋で、中央径間22.7m、側径間各14.8m、橋長は54.4mあります。幅は車道が18m、歩道が両側に各4.5m設けられ、合計27mとなっています。船舶の航行を考慮し、桁下の空間を確保するために、厚みを抑えた構造が採用されています。橋の四隅には、船の帆をモチーフにした特徴的な親柱が設置されています。

弁天橋は、1991年に「かながわの橋100選」にも選ばれました。その歴史的価値と美しいデザインは、現在も多くの人に親しまれています。

その他

横浜市内には、鶴見区にJR鶴見線の弁天橋駅がありますが、この駅は駅近くの池に架かる橋から名付けられたもので、本稿で紹介している弁天橋とは直接の関係はありません。

弁天橋の北東側には横浜市役所が隣接しており、横浜の行政の中心地としての役割も担っています。

参考資料

• - 関野昌丈『かながわの橋』神奈川合同出版 かもめ文庫、1981年11月30日、34-36頁。
• - 小寺篤『横浜の橋』経済地図社、1973年12月10日、93-101頁。

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