弁長

弁長（べんちょう）

弁長は、平安時代後期から鎌倉時代にかけて活躍した浄土宗の僧であり、鎮西義の開祖として知られています。父は古川則茂、字は弁阿、房号は聖光房と称しました。没後600年となる文政10年（1827年）には、仁孝天皇より大紹正宗国師の諡号が贈られています。

生涯

筑前国香月（現在の福岡県北九州市八幡西区）に生まれた弁長は、仁安3年（1168年）に出家し、安元元年（1175年）には観世音寺で受戒して天台宗の僧となりました。その後、寿永2年（1183年）に比叡山に登り、観叡や証真に師事して修行を積みます。建久元年（1190年）に故郷へ戻ると、鎮西の聖地である油山の学頭として、その地を統率する立場となりました。

建久4年（1193年）、異母弟である三明房の死に直面したことがきっかけとなり、弁長は人生の無常を強く感じ、浄土教に深く惹かれるようになります。建久8年（1197年）には、明星寺五重塔に安置する本尊の注文のため上洛し、そこで称名念仏を説く法然に出会いました。感銘を受けた弁長は、その日のうちに法然の弟子となり、浄土宗に改宗します。

都を離れた弁長は、故郷である筑前に戻り、筑後国や肥後国を中心に念仏の教えを広めました。筑後国高良山の麓にある厨寺（現在の厨山聖光院安養寺）では、千日間にわたる不断念仏を勤め、数多くの奇跡を起こしたと伝えられています。これにより、多くの念仏信者を得て、その教えを広める基盤を築きました。

その後、筑後国山本に善導寺を建立し、九州における念仏の根本道場としました。さらに、肥後国白川には往生院を開き、念仏の普及に努めました。弁長の流派は鎮西義と呼ばれ、現在の浄土宗へと繋がっています。

鎮西義

弁長によって開かれた鎮西義は、法然の教えを基盤としながらも、独自の発展を遂げました。この流派は、九州地方を中心に広がり、多くの人々に受け入れられました。弁長の教えは、念仏を唱えることによって極楽往生を願うという、浄土宗の基本的な考え方を忠実に守りながら、地域の実情に合わせた柔軟な解釈を加えていたとされています。

弟子

弁長には多くの弟子がおり、その中には浄土宗の発展に大きく貢献した人物も少なくありません。特に、3祖となる然阿良忠をはじめ、宗円や入阿など、優れた弟子たちが弁長の教えを継承し、さらに広めていきました。

著書

弁長は、自身の教えをまとめた著作も残しています。主なものとして、『浄土宗要集』、『末代念仏授手印』、『徹選択集』などが挙げられます。これらの著作は、弁長の思想や教えを理解する上で重要な資料となっています。

伝記・解説

弁長に関する伝記や解説も多く出版されており、その生涯や思想についてより深く知ることができます。例えば、『弁長　梶村昇、　隆寛 福原隆善』は、浄土仏教の思想を総合的に捉えたシリーズである＜浄土仏教の思想　第10巻＞に収録されており、弁長の生涯を詳細に解説しています。また、梶村昇の『聖光と良忠　浄土宗三代の物語』や、坂田良弘の『鎮西聖光上人の教学』なども、弁長の研究において重要な文献とされています。

外部リンク

• - 法灯を受け継いだ[念仏]]行者　浄土宗二祖　聖光上人 浄土宗

[https://jodo.or.jp/jodo-shiso/shoko_shonin/



弁長は、浄土宗の発展において重要な役割を果たした僧侶であり、その教えは現代にも受け継がれています。

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