良忠

良忠（りょうちゅう）

良忠は、鎌倉時代中期に活躍した浄土宗の僧であり、浄土宗の第三祖としてその名を刻んでいます。諱は然阿（ねんな）といい、没後には伏見天皇から記主禅師の諡号を贈られました。

生涯

1199年、良忠は石見国（現在の島根県西部）で誕生しました。13歳で出雲国の鰐淵寺に入門し、その後比叡山で受戒。天台宗、倶舎宗、法相宗、禅、律など、幅広い仏教の教えを学びました。しかし、故郷に戻ったのち、浄土念仏の修行に専念します。1236年には、九州に下り弁長に師事し、その教えを深く学びました。翌年までに『末代念仏授手印』などを授けられ、弁長から学問的な後継者として認められました。

1238年、石見国に帰った良忠は、安芸国（現在の広島県西部）にまで足を運び教化活動を行いました。1248年には上洛し、後嵯峨上皇に『浄土三部経』を講じ、戒を授けます。また、『選択集』の講義や、法然の門弟との交流を通じて、浄土宗の教えを深めました。

その後、良忠は信濃国（現在の長野県）へ向かい善光寺に参拝。1249年には関東に下り、下総国（現在の千葉県北部）での教化を開始し、その地で『浄土大意鈔』を著しました。匝瑳郡に拠点を移し、地頭の椎名氏の庇護を受けながら、常陸国（現在の茨城県）、上総国（現在の千葉県中部）、下総国の三か国にわたり精力的に活動を展開。その間、『選択伝弘決疑鈔』『三心私記』などの重要な著作を世に送り出しました。

1259年、良忠は外護者であった椎名氏との対立により、鎌倉へ移ります。大仏勧進聖浄光の坊に身を寄せた後、大仏朝直の帰依を受け、佐助ヶ谷に悟真寺を建立。その子である時遠から寺領の寄進を受け、経済的な基盤を確立しました。鎌倉において、良忠は専修念仏の指導者として、また他宗の僧侶からも一目置かれる存在となります。この頃、一向俊聖が弟子入りしました。また、極楽寺の忍性らとともに、日蓮との間で論争を繰り広げました。

1272年、大病を患った良忠は、比叡山で修行中の長男、良暁を呼び戻し、後事を託しますが、その後回復します。

1276年、弟子の要請により上洛した良忠は、紫野門徒の信慧と談義を行い、その結果、両派の教えが一致することを確認。これを機に、紫野門徒は鎮西義に合流しました。これにより、百万遍知恩寺や知恩院が、鎮西義にとって京における重要な拠点となりました。

1286年、浄土宗の統一に尽力した後、良忠は鎌倉に戻り、長男の良暁に浄土の奥義を伝授。1287年、89歳でその生涯を閉じました。

著書

良忠は、多くの著書を通じて浄土宗の教えを広めました。

『浄土大意鈔』
『選択伝弘決疑鈔』
『三心私記』
『決答授手印疑問鈔』
『観経疏伝通記』

参考文献

玉山成元「良忠」『日本仏教史辞典』（吉川弘文館、1999年）ISBN 4-642-01334-2

関連項目

良忠ゆかりの寺院として、以下の寺院が挙げられます。

勝願寺 (鴻巣市本町)
往生院 (長野市)
西方寺 (長野市)

外部リンク

浄土宗 念仏のみ教えを受け継いだ人々 記主良忠

良忠は、その生涯を通じて、浄土宗の教えの普及と発展に尽力しました。彼の思想と活動は、今日まで浄土宗に大きな影響を与え続けています。

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