式下郡

式下郡の歴史と地域情報

式下郡（しきげぐん）は奈良県に位置していた行政区画で、古代からの歴史を有します。大和国に属し、1880年に正式に設置された郡です。郡の範囲は、現在の磯城郡川西町、三宅町の全域及び天理市の一部、さらに磯城郡田原本町の特定の地区に及びました。

郡域の概要

郡が発足した当時、その区域には以下の地域が含まれていました。磯城郡川西町と三宅町が全域を成し、天理市では檜垣町、遠田町、海知町、武蔵町が含まれていました。そして、田原本町では富本、宮古、新町、阪手、大木、伊与戸、蔵堂、笠形の北東部が該当します。

古代と中世の歴史

「式下郡」という名称は「磯城の下郡」を意味し、中世まで「城下郡」と呼ばれていました。特に弥生時代の環濠集落が見つかった唐古・鍵遺跡が有名です。

郡内には『和名類聚抄』に基づく郷の記録も存在し、賀美、三宅、鏡作、黒田、室原などの郷が確認されています。特に大和郷は大和神社の周囲に広がる古墳群があり、「ヤマト」という呼称がこの地域から派生したと考えられています。

式内社の存在

郡域には『延喜式』神名帳に記載されている式内社も存在しました。これにより、地域の宗教的な活動や文化的な側面も浮かび上がります。

近世の支配構造

近世においては、明治初年の「旧高旧領取調帳」に基づく支配構造が記載されています。幕府領として奈良奉行の管轄下にあったことが記録されており、各村には寺社領や除地が存在していました。これにより、地域の経済活動や社会構造も影響を受けました。

近代の変遷

明治時代には大きな変化が訪れました。慶応4年2月、幕府領は奈良府に移管され、その後奈良県が成立しました。明治4年、廃藩置県により郡山県の管轄下に入った後、奈良県に統合されます。さらに、一部地域の合併や改称も行われ、明治22年には町村制の施行により新しい町村が設置されました。

この時期、式下郡は主に川東村、川西村、三宅村、都村と4つの町村が成立し、地域の行政組織の基盤が整いました。

郡の廃止

1897年4月1日には、郡制の施行により式上郡、式下郡、十市郡の区域が統合され、磯城郡が新たに設立されることとなりました。この結果として、式下郡は廃止され、地域の行政区画はさらに変化を遂げました。

結論

式下郡は奈良県の歴史において重要な位置を占めており、地域の文化や歴史を今に伝える貴重な地域でした。古代から近代にかけての長い歴史の中で、多くの変遷を経て現在に至るまで、その痕跡は現在の地名や風土に色濃く残されています。昔の人々の生活を反映した文化や伝承は、地域のアイデンティティとして今も息づいています。

もう一度検索