式守与太夫 (10代)

式守与太夫の生涯と業績

式守 与太夫（しきもり よだゆう、1925年12月4日 - 1983年5月25日）は、日本の大相撲界に名を刻んだ元三役格の行司である。その在位期間は1977年11月から1983年5月まで、立浪部屋に所属し、数々の伝説を残した。彼の本名は関口清三郎で、長野県佐久市の出身だ。

行司としてのキャリア

与太夫は、1936年に小学5年生の時に行司見習いとして春日山部屋に入門。その翌年の夏場所で「式守政吉」の名で初土俵を踏んだ。1952年には十両格に昇格し、「式守清三郎」と名前を変更する。1958年には幕内格へと昇進、そして1969年3月には10代式守与太夫を襲名。この時期に彼は特異な掛け声で多くのファンの心を掴み、昭和40年代・50年代の土俵において異彩を放った。

1974年には行司抜擢制度により、先輩の木村筆之助と序列が入れ替わり、幕内格の筆頭に昇進した。興味深いことに、与太夫よりも序列が2つ下であった8代式守錦太夫が先に三役格に昇格した。1977年11月には兄弟子の23代式守伊之助が27代木村庄之助を襲名と同時に三役格に昇進し、与太夫自身も三役格に昇格することとなった。

また、与太夫は1966年11月から1982年9月まで、番付書きも担当し、戦後3人目の能筆としても知られた。その書風は「根岸流」と呼ばれ、観る者を魅了した。特に、彼が裁いた1961年の5月場所での清ノ森と佐田の山の対戦は記憶に残る一戦で、清ノ森が肩透かしで勝利するという異例な結果をもたらした。

与太夫の個性

与太夫は歴代の与太夫の中で唯一、一年間のみ『與太夫』に名を変えた異色の存在でもある。また、1980年3月場所前には立行司に代わって土俵祭の祭主を務め、その存在感をさらに強めた。

最期とその影響

しかし、1982年9月に胃がんに倒れ、1983年5月25日に57歳で逝去。現役の行司としての生涯を閉じた彼の死は大相撲界において大きな喪失となった。多くのファンや同僚行司から惜しまれ、与太夫が残した数々の功績と伝説は今なお語り継がれている。行司として、彼が培った多くの経験値は後進の行司たちへと引き継がれ、また観客に対しても将来への inspirations を提供し続けている。彼の存在は、単なる行司に留まらない、大相撲界全体における文化的なアイコンであると言える。

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