式守伊之助 (29代)

29代式守伊之助の生涯と業績

29代式守伊之助（にじゅうきゅうだい しきもり いのすけ） は、1935年8月28日に和歌山県和歌山市で生まれ、本名を池田貢（いけだ みつぐ）としています。彼は、1995年から2000年にかけて大相撲の立行司として活躍しました。春日野部屋に所属し、行司としてのキャリアをスタートした彼は、昭和21年の1946年11月に初土俵を踏みました。

初期のキャリアと昇格

初土俵時の行司名は木村貢でしたが、その後、1961年1月に十両格に昇格し、1963年3月には3代木村善之輔を襲名しました。彼は三役格まで善之輔として通し、1977年には幕内格に昇格。1991年1月に三役格に昇格した際には、特に注目を集めました。同名跡で三役に昇格したのは50年ぶりのことでした。

立行司への昇格

1993年11月、28代木村庄之助が退職すると、29代式守伊之助を含む数名の行司が立行司昇格を目指しました。そして、1995年1月に大関貴乃花が横綱昇進を果たした際、立行司に昇格し29代伊之助を名乗ることになります。彼の在位期間は34場所にわたり、停年制導入後では在位数第4位の記録を持っています。

特徴と課題

伊之助の特徴は彼のテンポ良いかけ声でした。思い出されるのが、寺尾や琴錦といった速い取り口の力士たちを盛り上げた彼の姿です。しかし、昇格後は肝臓を患って以降、体調不良に見舞われることが多く、足裁きの不自由さや廻し団扇の使い方に課題が残りました。

実際、立行司としての評判を下げる要因ともなり、差し違えが多発しました。「差し違えの伊之助」として知られ、1997年9月場所と1999年11月場所の2度も差し違えによる謹慎処分を受けています。特に体調不良は彼のキャリアに影を落とし、三役に昇格した後でも病気による長期休場が相次ぎました。このため、29代庄之助は三役格行司を増員する必要性を訴え、実際に認められる結果となりました。

温厚な性格と評価

普段は控えめで温厚な性格だった彼ですが、その一方で試合中の差し違えや誤審が目立ち、「差し違えの伊之助」の異名を得ました。1992年1月場所では、若花田（のちの貴乃花）が初優勝を決めた一番を裁き、1995年11月場所では兄弟の優勝決定戦を裁くなど、重要な試合も数多く経験しています。

代表的なエピソードとしては、1998年11月場所において、土俵際で落ちた魁皇の下敷きになり骨折した際にも、自らの役目を果たし続けた忍耐強さがありました。この出来事は多くのメディアにも取り上げられ、さまざまな意見が交わされました。

晩年と死去

2000年7月場所を最後に隠退し、同年2月2日には肺炎により68歳でこの世を去っています。彼の死は多くの相撲ファンに悲しまれましたが、29代式守伊之助としての業績は今も語り継がれています。

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このように、29代式守伊之助は彼の独特のスタイルと数々のエピソードにより、大相撲界に名を残した立行司です。彼の職業に対する情熱や努力は、今日の行司たちにも引き継がれています。

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