掌底打ち

掌底打ちとは

掌底打ち（しょうていうち）は、格闘技や武道における打撃技の一種で、掌打（しょうだ）、底掌（ていしょう）、掌底（しょうてい）とも呼ばれます。手のひらの手首に近い肉厚の部分、または付け根の硬い部分を使って相手を攻撃する技です。

掌底打ちの特徴

掌底打ちは、ストレート、フック、アッパーカットのように、様々な角度で繰り出すことが可能です。特に、鼻や顎先を狙うストレート打ちや、顎先、こめかみを狙うフック打ちがよく使われます。オープンフィンガーグローブが普及する前の総合格闘技では、素手での顔面への直接攻撃が禁止されていたため、掌底打ちが顔面攻撃の主要な手段として用いられていました。

士道館の添野義二氏は、大山道場時代に、頭上から相手の横顔やこめかみに掌の付け根を振り下ろすように当てる掌底技を多用していました。この技は、「上から切り落とす」ように当てることで、より大きなダメージを与えることができるとされています。

空手の型（形）の中にも、掌底打ちの動きが含まれています。例えば、松濤館流の「慈恩」や「十手」では、掌底による側面中段打（受）が見られます。

相撲の突っ張りや張り手も、掌底突きや掌底打ちに似た技と言えるでしょう。

掌底打ちの長所

怪我のリスクが低い: 拳と比較すると、打った面を痛めることが少なく、手首を傷めにくいという利点があります。
相手へのダメージを調整しやすい: 拳と比べて、相手に裂傷や過度の傷を与えにくいという特徴があります。これは、対戦相手を必要以上に傷つけたくない場合や、護身の際に有効です。
サミングの可能性: 指先で相手の目を突くサミングは危険ですが、緊急時には護身の手段として使える可能性があります。

掌底打ちの短所

リーチが短い: 拳と比較して、リーチが短いため、相手との間合いを詰める必要があります。
攻撃力が低い: 拳や肘などの硬く尖った部分で攻撃する技と比べて、痛みを与えにくいとされています。そのため、ボディブローのような攻撃にはあまり効果が期待できません。
指を傷める可能性: 打撃時に指先を傷めることがあります。特に、相手の硬い部分を攻撃した場合に起こりやすくなります。
ルール上の制限: ボクシンググローブやオープンフィンガーグローブを装着する競技では、掌底打ちはオープンブローやサミングとして反則となる場合があります。

参考文献

真野高一 『DOSPORTS!空手』 日本文芸社 1978年
大山倍達 『100万人の空手』 講談社 1969年
『拳聖大山倍達・地上最強の空手』〈月刊フルコンタクトKARATE4月号別冊〉通巻179号 福昌堂 1998年

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