張伯端

張 伯端（ちょう はくたん）

張伯端（987年 - 1082年）は、中国北宋の末期に活躍した道士であり、全真道の初代南五祖として尊称されています。彼の本名は張伯端で、字は平叔、用成とも称され、号は紫陽です。彼は現在の浙江省台州市天台県平橋鎮に生まれました。

生涯の概略

張伯端は若い頃から道教に親しみ、科挙のための勉学にも邁進しました。彼は儒教、仏教、道教の教義を広範に学び、刑法や医学、天文、地理などの知識も修得していました。しかし、金丹の法に関しては、満足のいく理解を得られていませんでした。彼の官僚としての経歴は、火焼文書律に触れたことが原因で南方に転任され、その後、治平元年（1064年）には龍図閣直学士の陸詵に付き添い、桂州へと異動しました。

熙寧2年（1069年）には陸詵とともに成都に転任。この際に、彼は真人と呼ばれる師に出会い、金液還丹の秘密を学びました。これが彼にとっての転機となり、金丹修練を経た後、用成と改名し紫陽と号するに至りました。修練を経て達成感を得た彼は、熙寧8年（1075年）に「悟眞篇」を著しました。この著作は、後に『周易参同契』と並ぶ内丹の重要な古典として位置づけられました。彼の著作物は道蔵に収められ、その中には「金丹四百字」や「玉清金笥青華秘文金宝内煉丹訣」が含まれています。

彼の功績は非常に高く評価され、陽神を出す能力を持ち、離れた山彩花を取りに行くことさえできたと伝わっています。元豊5年（1082年）に96歳で逝去した際には、静かに座っている姿勢で亡くなったとされています。

思想と道統

張伯端の思想は、三教（儒教、仏教、道教）の教えは異なれども、根底には共通の道があるとするものでした。特に『悟眞篇』は、難解な隠喩を用いた漢詩によって整理され、彼の思想を深く理解するための鍵となっています。彼は性命の修練を通して三教の思想を融合させ、「性命双修」の概念を提唱しました。

この修練においては、まず肉体の修行（命功）を行った後に、精神の修行（心性）を計ることが重要であるとされました。この方法論は、彼の道教的理解を示すものとして、後の道士たちに大きな影響を与えました。張伯端は禅にも深い関心を持ち、雲門宗の雪竇重顕に学んだとも言われています。

南宋以降、張伯端は全真の祖師と見なされ、紫陽真人として尊称されました。彼の修練法は、南宋時代における内丹道の発展に大きく寄与し、その後の北宗や南宗の分派にも影響を与えました。彼の法系は、石泰、薛道光、陳楠、白玉蟾と続き、いわゆる南五祖として知られています。さらに、王重陽の北宗に対して、張伯端の法系は全真教の南宗と呼ばれるようになりました。

著作物

張伯端の主な著作には以下が含まれます：

• - 『悟眞篇』
• - 『金丹四百字』
• - 『玉清金笥青華秘文金宝内煉丹訣』

彼についての伝記資料としては、『歴世眞仙體道通鑑』、『古今圖書集成』、『臨海縣志』などが存在しています。これらの資料により、彼の生涯と思想は多くの人々に伝わり、道教の教義と実践において重要な位置を占めることになりました。

もう一度検索