影虎和彦

影虎和彦：駆け抜けた26年と、第二の人生

影虎和彦（かげとら かずひこ）は、1954年5月21日、岩手県九戸郡軽米町に生まれました。後に大相撲力士として活躍する彼は、中学生時代は陸上競技に打ち込んでいました。運命の出会いは、2年生の時のこと。地元・岩手への巡業に訪れた九重部屋の大関・北の富士と出会い、スカウトを受けます。

上京後、元横綱・千代の山を師匠とする九重部屋に入門。1968年11月場所で、力士としてのキャリアをスタートさせました。当初は本名である滝沢和彦として土俵に上がりましたが、三段目時代の1972年1月場所より、四股名を「影虎」に改名します。この四股名は、当時NHKで放送されていた大河ドラマ『天と地と』の主人公、上杉謙信の出家前の名である長尾景虎に由来しています。その後、一時的に本名に戻す時期もありましたが、1976年1月場所から再び「影虎」として土俵に上がり続けました。

幕下時代は5年以上も上位進出の壁に阻まれ続けましたが、1978年1月場所、ついに新十両に昇進。3場所連続で勝ち越しを収め、同年7月場所では念願の新入幕を果たします。左四つからの突き押しを得意とし、俊敏な動きを武器に観客を魅了しました。しかしながら、幕内では残念ながら一度も勝ち越すことができませんでした。

晩年は頸椎捻挫という大きな怪我を負い、1981年3月場所を前に、26歳という若さで廃業せざるを得ない状況となりました。輝かしい活躍とはならなかったものの、持ち前の明るさと努力で、多くのファンを惹きつけました。

引退後は故郷である岩手県盛岡市に戻り、相撲料理店を営んでいます。土俵を去ってからも、持ち前の明るさと行動力で、第二の人生を着実に歩んでいます。彼の生涯は、挫折を経験しながらも、常に前向きに目標に向かって突き進む姿を示す、一つの物語と言えるでしょう。

主な戦績

通算成績：351勝312敗15休 勝率.529
幕内成績：19勝41敗 勝率.317
現役在位：74場所
幕内在位：4場所
幕下優勝：1回（1977年5月場所）
連続出場：663回（序ノ口以来、1969年1月場所-1981年1月場所）

改名歴

滝沢 和彦（たきさわ かずひこ、1969年1月場所-1971年11月場所）
影虎 和彦（かげとら かずひこ、1972年1月場所-1974年9月場所）
滝沢 和彦（たきさわ かずひこ、1974年11月場所-1975年11月場所）
影虎 和彦（かげとら かずひこ、1976年1月場所-1981年3月場所）

影虎和彦氏の短いながらも力強い大相撲人生は、多くのファンに記憶されています。そして、現在も盛岡市で営む相撲料理店は、彼の新たな挑戦の舞台であり続けています。彼の生き様は、後世に語り継がれるべき、感動的な物語です。 参考文献：『戦後新入幕力士物語 第四巻』（著者：佐竹義惇、発行元：ベースボール・マガジン社、p310-p314）

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