後漢末

後漢末（184年–220年）

後漢末とは、概ね西暦184年の黄巾の乱から、220年に後漢が滅亡するまでの期間を指します。この時代は、中央政府の権威が失墜し、各地で群雄が割拠する動乱の時代でした。最終的には三国時代へと移行する、中国史における重要な転換期です。

王朝の権威失墜

霊帝の治世末期、政治腐敗が深刻化し、社会不安が高まっていました。184年に勃発した黄巾の乱は、その象徴的な出来事です。この反乱を鎮圧するために、各地の豪族が私兵を組織し、軍閥化していきました。霊帝の死後、宦官と外戚の権力闘争が激化し、董卓が洛陽を制圧。献帝を擁立して傀儡政権を樹立しました。

反董卓連合

董卓の専横に対し、袁紹を盟主とする反董卓連合が結成されました。しかし、連合軍は一枚岩ではなく、内部対立を抱え、董卓を討伐するには至りませんでした。董卓は洛陽を焼き払い、献帝を連れて長安へ遷都。その後、董卓は部下の呂布によって暗殺されましたが、後漢の混乱は収まりませんでした。

群雄割拠

董卓の死後、各地の群雄が勢力を拡大し、互いに争う群雄割拠の時代が到来しました。主な群雄としては、袁紹、袁術、曹操、劉備、孫権などが挙げられます。彼らはそれぞれの拠点を築き、勢力拡大を目指して激しい戦いを繰り広げました。

曹操の台頭

曹操は、献帝を保護し、その権威を利用して勢力を拡大しました。彼は、屯田制を実施して経済力を強化し、優れた人材を集めて軍事力を高めました。200年の官渡の戦いで袁紹を破り、華北を統一。中国統一に大きく近づきました。

赤壁の戦い

208年、曹操は南下を開始し、荊州を制圧しました。しかし、孫権・劉備連合軍との赤壁の戦いで大敗を喫し、中国統一は頓挫しました。この戦いを境に、中国は魏・呉・蜀の三国が鼎立する時代へと突入します。

三国時代へ

220年、曹操の子である曹丕が献帝から禅譲を受け、魏を建国。後漢は滅亡しました。221年には、劉備が蜀漢を建国し、229年には、孫権が呉を建国。ここに、三国時代が幕を開けました。

後漢末の動乱は、その後の中国史に大きな影響を与えました。群雄割拠の時代を経て、三国時代が到来し、その後も長い分裂の時代が続くことになります。しかし、この時代に活躍した英雄たちの物語は、後世に語り継がれ、多くの人々に愛されています。

参考資料
de Crespigny, Rafe (2007). A Biographical Dictionary of Later Han to the Three Kingdoms 23–220 AD. Leiden: Brill. ISBN 9789004156050
Zizhi Tongjian, vols. 59, 60, 61, 62, 63, 64, 65, 66, 67, 68, 69.
* Book of Later Han, vol. 9.

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