後藤信康

後藤信康：戦国を駆け抜けた伊達家の勇将

後藤信康は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将で、陸奥・出羽の戦国大名である伊達氏の家臣として活躍しました。その生涯は、勇猛果敢な武将としての活躍と、晩年の主君の勘気による改易など、波乱に満ちたものでした。

生い立ちと家督相続

後藤信康は、弘治2年（1556年）に長井郡洲島城主・湯目重弘の次男として生まれました。その後、後藤信家の養嗣子となり、後藤氏の家督を相続しました。

伊達家臣としての活躍

天正10年（1582年）には、伊達輝宗に従って相馬義胤との合戦に出陣し、武功を挙げました。天正13年（1585年）には、伊達政宗が蘆名氏との同盟を破棄して会津に侵攻した際（関柴合戦）、耶麻郡桧原城主に任ぜられ、4年間同地の守備にあたりました。この間、政宗の正室・愛姫から慰労の品として打掛を賜ったとされています。

天正17年（1589年）には、政宗が摺上原の戦いで蘆名氏を破り会津を攻略すると、信康は耶麻郡北方城主となりました。天正19年（1591年）には、政宗が奥州仕置で耶麻郡を没収されたため、亘理郡坂元城主に異動となります。同年の葛西大崎一揆鎮圧戦では、佐沼城攻めで活躍し、翌文禄元年（1592年）からの朝鮮出兵にも政宗に従って渡海しました。

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは白石城攻略戦で活躍し、同年栗原郡宮沢城主、慶長7年（1602年）には桃生郡大森城主となり、2,500石を知行しました。

突然の改易と復帰

ところが、慶長10年（1605年）に信康は政宗の勘気を蒙り、突如として改易されてしまいます。改易の理由として、葛西大崎一揆の際の宮崎城攻めで軍法違反を犯したという説がありますが、これは10年以上も前のことであり、また他の史料的な裏付けがないことから、この説は否定されています。信康の最期に関する説話が多く生み出された背景には、この一件の原因がはっきりしないところにあると考えられます。

慶長16年（1611年）にようやく赦免されて復帰し、江刺郡三照に500石を与えられました。

慶長19年（1614年）8月8日、信康は死去しました。享年59歳。嫡男の近元が家督を相続しました。

人物・逸話

信康は常に黄色の母衣を着けて戦場に赴いたため、「黄後藤」と称され、敵に恐れられたと言われています。

また、信康に関柴合戦での不始末を非難されたことに腹を立てた原田宗時に決闘を申し込まれた際、「このような事で死ぬくらいなら、御家のためにその命を使おうではないか」と諭したという逸話も残っています。これに感じ入った宗時は改心し、これ以降両者は刎頚の交わりを結んだと伝えられています。

さらに、桧原城主であった時、政宗に対して退屈なので城主の任を解いて戦場に赴かせてほしいと訴えたものの、この嘆願を拒否されたため、悲観した信康は戦支度を整えたのち愛馬・五島の背に跨り、共に崖下へ身を投げたという説話も残っています。この愛馬・五島は、後に大坂冬の陣に漏れたことを嘆き、崖から身を投げて亡くなったという説も伝えられています。

参考文献

『小牛田町史』上巻（宮城県遠田郡小牛田町、1970年）

関連項目

『独眼竜政宗』（1987年NHK大河ドラマ、演：佐野史郎）

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