後藤正夫

後藤 正夫の生涯と業績

後藤 正夫（ごとう まさお、1913年6月18日 - 2000年1月29日）は、日本の政治家及び統計学者として知られる人物である。彼は、参議院議員を3期、法務大臣（第50代）を歴任し、その高潔な業績で多くの人々に影響を与えた。彼は従三位に叙せられ、勲一等瑞宝章を受章した。父は元内務大臣の後藤文夫であり、政治家としての素養を受け継いだと言える。

来歴

大分県大分市で生まれた後藤は、旧制横浜高等工業学校（現在の横浜国立大学）を卒業。卒業後は三菱鉱業（現在の三菱マテリアル）で技術者としてキャリアをスタートさせる。その後、内閣技術院の参技官として、その能力を磨き続けた。

内閣調査局調査官や、宮城県職員として多様な経験を積み、さらに内閣統計委員会事務局基準課長、行政管理庁統計基準部企画課長を経て、1959年には行政管理庁統計基準局長に就任。1967年までのその役職は統計関連の政策に大きな影響を与えた。

退官後、後藤は1968年から8年間、大分大学の学長に就任する。教育者としての役割を果たす一方、1976年には参議院大分県選挙区補欠選挙に自由民主党の候補者として出馬。ロッキード事件に伴う逆風の中でも、社会党や公明党の候補を打ち破り、初当選を果たした。その後、3期にわたり参議院議員として活躍する。

1989年には第1次海部内閣において法務大臣に任命され、初めて内閣の一員となる。在任中には、1人の死刑囚に対して死刑執行の命令を下すなど、厳しい決断を下した。また、1991年には国際連合平和維持活動に関する法律の審議のために設けられた特別委員会で委員長としての責任を担う。しかし、「憲法との問題から見て、かなり無理をしているところがある」との発言とともに、心労を理由に同年12月に委員長を辞任する。その後、1992年の第16回参議院議員通常選挙には出馬せず、政界を引退した。

エピソード

後藤は、第二次世界大戦中の経験を語る。彼がいた当時、東条内閣の下で戦力計算室が設立され、ニューギニアの戦闘に関する戦力の見積もりや部隊配置が行われていたという。しかし、実際には東条英機首相が視察を行った当日、戦力計算室は廃止されることとなった。この事例は、政治的決定がいかに科学的な根拠に基づいて行われているか、疑念を呼ぶものであった。

受賞歴

後藤はその業績に対して数々の賞を受賞している。特に、1952年にはデミング賞を受賞し、1978年には日本オペレーションズリサーチ学会賞を受賞。また、1990年には勲一等瑞宝章を授与され、その貢献が評価された。

2000年1月29日、後藤は86歳でこの世を去った。彼の生涯は、日本の統計学や政治に多大な影響を与え、今もなおその足跡は色あせることはない。

もう一度検索