徐忠

徐忠（じょ ちゅう）

徐忠は、明代初期に活躍した軍人であり、その生涯は戦乱と功績に彩られています。生年は不詳ですが、1413年に没しています。本貫は廬州合肥県であり、父の爵位を継いで河南衛副千戸となりました。

若き日の武勲

徐忠は、若くして北伐にたびたび従軍し、多くの捕虜や戦利品を得て、その武勇を示しました。その功績により、済陽衛指揮僉事に昇進しています。洪武帝の末年には、開平に駐屯しました。

靖難の変での活躍

1399年（建文元年）、靖難の変が勃発すると、徐忠は燕王朱棣の軍が居庸関と懐来を攻略した際に、開平ごと降伏しました。その後、朱棣に従い、灤河を巡って陳旭とともにその流域の城を次々と落としました。李景隆が北平を攻撃した際には、朱棣軍は大寧から救援に駆けつけ、徐忠は前軍を率いることになりました。白河で陳暉を破り、鄭村壩では李景隆を破るなど、その武勇は目覚ましいものでした。

白溝河の戦いでの壮絶な戦い

1400年（建文2年）の白溝河の戦いでは、徐忠は単騎で敵陣に突入するという大胆な行動に出ました。流れ矢が指に当たった際には、自ら刀で指を断ち切り、鏃を取り除いたという逸話が残っています。そのまま満身創痍になりながらも奮戦する姿を見た朱棣は、「真の壮士なり」と賞賛しました。その後も済南進攻、滄州攻略、東昌での戦いなどで活躍し、その武勇は各地で轟きました。

功績と晩年

1402年（建文4年）、東阿、東平、汶上を攻略し、霊璧で戦いました。朱棣に従って長江を渡り、南京に入城。その後、指揮同知から都督僉事に累進し、永康侯に封じられ、1100石の禄と世券を賜りました。

徐忠は、常に諸将の先頭に立って戦い、敵の勢いを挫きました。また、軍の統制は厳格であり、その通過する場所で騒動が起こることはありませんでした。降伏者に対しては寛容であり、その協力を得ることができました。継母に孝養を尽くし、夜間帰宅すると必ず家廟に手を合わせてから家に入るなど、その人となりは敬虔で慎み深いものでした。永楽帝が北巡した際には、皇太子朱高熾の監国を補佐して北京の留守を任されました。

1413年（永楽11年）8月、徐忠は亡くなりました。死後、蔡国公に追封され、諡は忠烈と贈られました。

人物評

徐忠は、戦場では勇猛果敢でありながら、普段は慎み深く、人望の厚い人物でした。その武勇と忠誠心は、明朝の建国と発展に大きく貢献し、後世に語り継がれることになりました。

参考文献

『明史』巻146 列伝第34

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