徐淑希

徐淑希（じょ しゅくき）は、中華民国の法学者であり、外交官としても国際的に活躍した人物です。

学歴と初期のキャリア

徐淑希は、香港大学で文学士の学位を取得後、アメリカに留学し、コロンビア大学で文学修士号を取得しました。帰国後は香港大学で国際法の講師を務め、教育者としてのキャリアをスタートさせました。その後、1920年には上海基督教青年会の秘書となり、社会活動にも携わります。

1924年からは、私立燕京大学で助教授として教鞭を執り、翌年にはコロンビア大学で博士号を取得しています。1928年には燕京大学の政治系主任兼教授に就任し、その後も教務委員会主席、研究院委員会主席、社会科学院院長、法学院院長といった要職を歴任し、大学運営にも大きく貢献しました。

外交官としての活動

1931年に満州事変（九・一八事変）が勃発すると、徐淑希は国民政府に招聘され、東北外交研究委員会委員に任命されます。その後、国際連盟調査団中国代表処専門委員、国際連盟中国代表団専門委員・法科研究所所長など、外交官としての活動を本格化させます。この時期、国際社会における中国の立場を擁護する重要な役割を担いました。

特に、日本軍による南京攻略戦時に設置された南京安全区国際委員会の記録集『Documents of the Nanking Safety Zone』（南京安全区攩案）を1939年に編集したことは、歴史的に重要な業績として知られています。この記録集は、南京事件に関する貴重な一次資料であり、徐淑希の歴史に対する貢献を示すものです。

日中戦争中の1940年には、国際連盟理事会中国副代表に任命され、国際社会における中国の代表としての活動を続けます。1942年6月には、外交部西亜司司長代理となり、外交官としての職務をさらに広げています。

戦後の活動と晩年

第二次世界大戦終結後は、国際連合関連の職務を務め、戦後の国際秩序構築に貢献しました。国共内戦の結果、中国国民党が台湾へ逃れた後の1956年には、駐ペルー兼駐ボリビア大使として着任し、外交官としてのキャリアを継続します。

その後も、中華民国を代表して国際連合代表団全権代表を何度か務め、国際社会における中国の立場を主張し続けました。1962年には、駐カナダ大使に任命され、国際的な舞台でその手腕を発揮しました。

1982年、徐淑希は91歳でその生涯を閉じました。法学者、教育者、外交官として、激動の20世紀前半を生きた徐淑希の功績は、今日でも高く評価されています。

参考資料

徐友春主編『民国人物大辞典 増訂版』河北人民出版社、2007年。ISBN 978-7-202-03014-1。
劉国銘主編『中国国民党百年人物全書』団結出版社、2005年。ISBN 7-80214-039-0。
* 東亜問題調査会『最新支那要人伝』朝日新聞社、1941年。

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