徐琦

徐琦（じょ き、1386年 - 1453年）は、明朝時代に活躍した官僚です。字は良玉といい、杭州府銭塘県（現在の浙江省杭州市）を本貫とします。

生涯

徐琦の祖父は兵士として寧夏（現在の寧夏回族自治区）に流刑となり、その地に家を構えました。幼い頃から学問に励んだ徐琦は、経書や史書に深く通じるようになりました。1415年（永楽13年）に進士に合格し、役人としてのキャリアをスタートさせます。最初に任じられたのは行人という役職でした。

1429年（宣徳4年）には、兵部職方員外郎に転任します。その後、その能力が認められ、1431年（宣徳6年）には右通政に抜擢されました。同年、章敞の副使として、ベトナムの黎朝へ派遣され、外交交渉に携わります。帰国後、南京兵部右侍郎に任じられ、要職を歴任しました。

1433年（宣徳8年）、黎朝からの貢物が規定量を満たさず、また、明の南征に参加した兵士の帰還も滞っていたため、宣徳帝は徐琦を再びベトナムへ派遣します。当時、黎朝では黎利が亡くなり、子の黎麟が即位したばかりで、外交方針が定まっていない状況でした。徐琦は黎麟に対し、明と黎朝の双方にとっての利害を丁寧に説明し、明の兵士の帰還と貢物の納入を約束させることに成功しました。1434年（宣徳9年）に帰国し、その外交手腕が高く評価されました。

1435年（宣徳10年）には、工部左侍郎の鄭辰や刑部右侍郎の吾紳らと共に、山西省の治安維持と民政の安定を図る役目を任されます。

正統帝の治世初期には、鄭辰と共に北京南郊の官吏の考査を行い、不正を行っていた30人を降格処分にしました。この頃、各地で災害が頻発していたため、徐琦は災害防止のための十項目を皇帝に進言し、全てが受け入れられました。1440年（正統5年）には、南京の重要政務に参与するよう命じられます。

1449年（正統14年）には、参与官のまま南京兵部尚書に昇進します。当時、南京の軍を分割し、その家族と共に北方へ移住させるという提案が出され、朝廷内でも賛成意見が多数を占めていました。しかし、徐琦は数万もの人々を移動させれば、民心が動揺するとして反対し、皇帝に進言した結果、この移住計画は中止されました。また、軍の駐屯地には学校がないことを憂い、徐琦は全国の軍駐屯地に府・州・県に倣って学校を設立するよう提案し、これも受け入れられました。

1450年（景泰元年）、靖遠伯王驥が南京の重要政務に参加するようになると、徐琦は南京兵部の事務に専念します。1452年（景泰3年）に王驥が解任されると、再び南京の重要政務に参与することになりました。

1453年（景泰4年）3月、徐琦は68歳で亡くなりました。その功績を称え、貞襄という諡号が贈られました。彼の著作には『文集』6巻があります。子に徐鎡がいます。

徐琦は、官僚として卓越した能力を発揮し、外交、災害対策、教育など、多岐にわたる分野で功績を残しました。彼の貢献は、明朝の安定と発展に大きく寄与したと言えるでしょう。

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