御前原城

御前原城の概要

御前原城（ごぜんぱらじょう）は、栃木県矢板市早川町に存在した日本の平山城であり、現在は栃木県指定の史跡として知られています。この城は、別名として塩谷城や塩谷故城、中村城などとも呼ばれています。御前原城は、1315年に塩谷頼安によって築城され、1644年に廃城となりました。

御前原城の築城年代とその経緯

御前原城の築城年代については2つの見解があります。一つは、1177年から1183年の間に塩谷頼純によって建設されたという説、もう一つは正和4年（1315年）に塩谷頼安によって築かれたとする説です。地元の伝承によると、塩谷頼純説が支持されていますが、『日本城郭大系』は両方の説が伝説の範疇に留まる可能性があると述べています。特に、前者の説に関しては、頼純がその時期にはすでに亡くなっているため、正和4年説が信憑性を持ちます。また、発掘調査によると築城は1400年初頭に行われたとされ、この点からも正和4年説が有力とされています。

塩谷頼安とその家系

塩谷頼安という名は、塩谷氏の系図には見当たらず、その人物の実像は不明です。しかし、宇都宮氏の系図には、塩谷氏の先祖にあたる「塩谷業泰」という人物が記載されています。頼安と業泰が同一人物であるかどうかは確証がなく、いまだ研究の余地があります。

御前原城の歴史

御前原城は、川崎城と共に塩谷氏の居城として重要な役割を果たしましたが、その詳細な記録は残っておらず、居館としての機能が強く、戦時には支城として使用されていたと考えられています。経済的な観点からは、周辺地域が水田適地に欠けていたため、発展が妨げられていました。

天正18年（1590年）には、小田原の役に伴って塩谷氏の家臣岡本正親が独立し、義通が御前原城を居城としました。慶長3年（1598年）には義通が死去し、その後は岡本家が城主となりました。しかし1644年、泉騒動により城主の岡本保真が命を落とし、御前原城はその後廃城となります。

世直し騒動と農民一揆

1867年、御前原城跡では「世直し大明神」の旗を掲げた農民たちによる百姓一揆が発生しました。彼らは金銭的な負担を軽減させることを目的として近隣の富豪の家を襲撃し、借金返済の免除を要求しました。最終的には宇都宮藩の軍勢が到来し、一揆は鎮圧されました。

御前原城の現在

現在、御前原城の跡地は「御前原公園」として整備されており、主郭と周囲には良好な遺構が残っています。一方で、城外の遺構はシャープの工場用地として開発され、多くが失われています。歴史的な背景を感じさせる場所として訪れる価値があります。

参考資料

• - 矢板市史編集委員会編 『矢板市史』矢板市、1981年。
• - 矢板市教育委員会編 『ふるさと矢板のあゆみ』矢板市、1989年。
• - 『塩谷朝業』 塩谷朝業顕彰会 昭和50年（1975年）。

関連項目

• - 日本の城一覧

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