御岳山 (東京都)

東京都青梅市に位置する御岳山は、標高929メートルを誇る山です。かつては旧武蔵国の領域に属していたことから、「武蔵御岳山」とも呼ばれます。古くから神聖な山として崇められ、山岳信仰の中心地であり、その頂には歴史ある武蔵御嶽神社が鎮座しています。

地理と自然
御岳山への主要なアクセス手段である御岳登山鉄道のケーブルカー御岳山駅から、武蔵御嶽神社へと続く参道沿いには、趣のある鳥居前町が広がっています。ここは、かつて神社の神職でもあった御師（おし）たちが、参拝者のための宿坊などを営んできた歴史を持つ集落です。この地には、国の天然記念物に指定されている樹齢千年ともいわれる巨木「神代ケヤキ」がそびえ立ち、また、御岳ビジターセンターでは御岳山の自然に関する情報を得ることができます。

山域の奥深くには、信仰の対象である奥の院や、人気の登山先である大岳山、さらにその奥に鋸山といった山々が連なります。山肌は豊かな森林に覆われ、神木として崇められる巨樹のほか、コナラやミズナラなどの落葉広葉樹が中心の二次林や、スギ、ヒノキの人工林が見られます。また、湿潤な環境を好むコケの種類が非常に豊富で、コケ観察ツアーなどが開催されるほど自然観察の対象としても魅力があります。

観光とレジャー
都心からのアクセスの良さも御岳山の魅力の一つです。東京駅からJR青梅線を利用すれば、御嶽駅まで約1時間47分で到着できます。この利便性から、年間約50万人の観光客や登山者が訪れています。御岳山のケーブルカーは、大きなサイズの愛犬も同伴乗車できるため、ペットと一緒にアウトドアを楽しみたい方にも人気です。

季節ごとの見どころも豊富です。元旦には、多くの参拝客が初日の出を拝むために訪れます。また、夏の8月頃には、約5万株ともいわれるレンゲショウマの可憐な花が群生し、多くの人を魅了します。山中ではムササビがよく観察され、その愛らしい姿は地元の土産物店のモチーフにも使われています。さらに、JR青梅線の電車シートにもムササビのデザインが採用されており、子どもたちの目を楽しませています。

御嶽駅周辺の多摩川沿い一帯は「御岳渓谷」として知られ、多摩川と青梅街道（国道411号）に挟まれた美しい景観が広がります。ここでは整備された遊歩道を散策したり、渓谷沿いの喫茶店やギャラリーを巡ったりするほか、カヌーなどのリバースポーツを楽しむこともできます。

交通アクセス
公共交通機関を利用する場合、JR青梅線御嶽駅で下車後、西東京バスに乗り換え、御岳登山鉄道ケーブルカーの滝本駅へ向かいます。滝本駅からケーブルカーに乗車し、御岳山駅で降車します。御岳山駅から武蔵御嶽神社までは徒歩で約25分です。御嶽駅から滝本駅まで徒歩で向かうことも可能で、所要時間は約45分です。また、滝本駅から御岳山駅までは、ケーブルカーを使わずに徒歩で登る場合は約1時間、下りる場合は約40分かかります。

車でのアクセスは、中央自動車道八王子インターチェンジから約60分、圏央道青梅インターチェンジからは約40分が目安です。滝本駅および周辺には駐車場が整備されています。ただし、滝本駅より先の山頂へと続く道路（東京都道201号線）は、神社関係者や山頂集落居住者など、事前に許可を得た車両以外は通行が規制されているため注意が必要です。

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