御嵩町

岐阜県可児郡御嵩町：歴史と自然、そして未来への挑戦

御嵩町は、岐阜県の中南部、木曽川南岸に位置する可児郡唯一の町です。可児川が流れ、町の約60％を山林が占める自然豊かな環境の中に、濃尾平野の端部に当たる中心市街地が広がっています。八王子山や御嵩富士といった山々、そして木曽川、可児川、津橋川、唐沢川などの河川、さらに前沢池といった自然が、町の景観を彩っています。丸山ダムや前沢ダムといったダムも町の重要な水資源管理に貢献しています。

町の地理と周辺環境

御嵩町は、可児市、美濃加茂市、土岐市、瑞浪市、加茂郡八百津町と隣接していますが、美濃加茂市とは直接行き来することはできません。町の面積は比較的広く、多様な地形を有しています。

歴史と文化

古くから御嵩地区南山付近には御嵩城、顔戸地区には顔戸城が存在し、近世には中山道の宿場町として御嶽宿と伏見宿が栄えました。明治・大正時代には、可児郡役所や警察署が置かれ、美濃東部で最初の旧制中学校（現在の岐阜県立東濃高等学校）も設立されるなど、可児郡の中心地として重要な役割を果たしていました。

1879年（明治12年）の可児郡発足時には、御嵩に可児郡役所が設置され、現在の御嵩町と可児市に加え、多治見市の土岐川北岸地域なども管轄していました。1889年（明治22年）の町村制施行により御嵩村として発足し、1955年（昭和30年）には中町、伏見町、上之郷村と合併して現在の御嵩町となりました。その後も、周辺地域との編入合併を経て、現在の町域が形成されています。1985年（昭和60年）には御嵩警察署が可児市へ移転しています。

産業廃棄物処理場問題

1991年以降、御嵩町は産業廃棄物処分場建設計画をめぐる大きな混乱に見舞われました。1996年には、反対派の町長に対する盗聴事件や町長襲撃事件が発生し、社会問題となりました。これらの事件は、産廃処分場計画との関連性が指摘され、盗聴事件については複数の関係者が検挙されましたが、襲撃事件は未解決のまま時効が成立しています。最終的に、2008年に寿和工業が建設許可申請を取り下げ、この長期にわたる問題は終止符を打ちました。

産業廃棄物処理場問題の経緯

この問題は、1991年に寿和工業株式会社が御嵩町への産廃処分場建設を計画したことに端を発します。その後、町と企業、そして住民との間で長年にわたる激しい対立が続きました。住民投票の実施、町長選での処分場反対派の当選、そして複数の事件発生と、この問題は御嵩町の社会構造を大きく揺るがすものとなりました。最終的には、関係者間の協議と、県による判断を経て、計画が取り下げられるという結果に終わりました。

行政と公共施設

御嵩町には、町長、議会、そして様々な公共施設が存在します。かつては警察署や岐阜地方法務局の支局もありましたが、現在は可児市と美濃加茂市に移転しています。町役場、公民館、図書館、郷土館などの公共施設は、住民生活を支える重要な役割を担っています。また、医療機関として桃井病院があります。

産業と経済

御嵩町の特産品としては、希少大豆を使った「みたけ味噌」が有名です。この味噌を使った「みたけとんちゃん」も地域を代表する料理となっています。工業面では、かつてはタイルメーカーの本社工場がありましたが、現在はショッピングセンターに生まれ変わっています。平芝工業団地やグリーンテクノみたけといった工業団地も存在し、自動車関連企業を中心に多くの企業が操業しています。

鉱業と地盤

かつて御嵩町は、亜炭の一大産出地として栄えました。多くの炭鉱が開山し、最盛期には全国産出量の4分の1以上を占めた時期もありました。しかし、採掘に伴う事故や、エネルギー事情の変化により、1968年には全ての炭鉱が閉山しました。現在も亜炭採掘によってできた坑道が町内に残っており、陥没事故の危険性が懸念されています。大規模な陥没事故を防ぐためには多額の費用が必要であり、町は対策に苦慮しています。

教育と交通

御嵩町には、高等学校、中学校、小学校が複数存在し、教育環境が整備されています。交通面では、名鉄広見線が町内を通っており、バス路線も充実しています。東海環状自動車道もアクセスに貢献しています。

観光と文化

御嵩町には、鬼岩公園や鬼岩温泉といった観光地があり、自然豊かな環境の中で観光客を迎えています。「みたけの森」といった生活環境保全林も町の貴重な財産です。また、寺院や神社、祭りなども町の文化を彩っています。

その他

近年では、1917年以前に発掘された化石が、絶滅哺乳類のカリコテリウム科の化石であると判明するなど、新たな発見もあります。

御嵩町は、歴史と自然、そして様々な課題を抱えながらも、未来に向けて発展を続ける町です。

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