御巫清直

御巫清直（みかなぎ きよなお）は、1812年（文化9年）に生まれ、1894年（明治27年）に没した、江戸時代末期の国学者であり、伊勢外宮（豊受大神宮）の神職でもありました。幼名は光直、通称は寿之助、権之亮、志津摩、尚書など、号は棒園と称しました。本居春庭の門下として国学を修め、その学識は多岐にわたりました。


清直は、杉原光基の長男として誕生し、父から国学の手ほどきを受けました。15歳で従祖父である御巫清富の家を継ぎ、神職の道を歩み始めます。その後、伴信友や鈴木重胤といった多くの国学者と交流を深め、神道五部書をはじめとする伊勢神宮関連の文献研究や、斎宮に関する考証に尽力しました。特に、平田篤胤の説を受けて『先代旧事本紀』の研究に本格的に取り組み、その研究の基礎を築いた功績は非常に大きいと言えるでしょう。


また、清直は国学のみならず、書道、雅楽、能楽、茶道といった多様な分野にも精通していました。その多才ぶりを示すものとして、三重県四日市市垂坂町の立坂神社には、彼の歌碑が残されています。これらの事実は、清直が単なる学者ではなく、文化人としての側面も持ち合わせていたことを物語っています。


清直は、生涯にわたり多くの著作を著しました。

『大神宮本記記正鈔』
『神朝本紀』
『先代旧事本紀折疑』
『斎宮寮考証』

これらの著作は、彼の国学研究における深い知識と洞察力を示すものです。また、関連書として『増補大神宮叢書』（吉川弘文館）があります。


御巫清直は、83歳でその生涯を閉じましたが、その功績は後世にまで語り継がれています。1944年（昭和19年）には、その学問的功績が認められ、正五位が追贈されました。彼は、国学者としてだけでなく、神職としても伊勢神宮に深く貢献し、日本の伝統文化の発展に寄与した人物として、その名を歴史に刻んでいます。


関連項目

伊勢神宮
先代旧事本紀

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