鈴木重胤

鈴木重胤（すずき しげたね）

鈴木重胤は、文化9年（1812年）に淡路国で生まれ、江戸時代後期に活躍した皇学者です。幼名を雄三郎といい、後に勝左衛門、橿廼家、厳橿本、府生、柱州と号しました。諱は重胤。

生涯

1825年頃、大坂の鴻池家に奉公に出ますが、父の遺訓に従い国学を志します。大坂や神戸で奉公のかたわら学問に励み、1832年には江戸の平田篤胤に手紙で教えを請いますが、面会は叶わず篤胤は亡くなります。その後、1834年頃に大国隆正に入門し、本格的に国学を学び始めました。

嘉永・安政年間には、『延喜式祝詞講義』や『日本書紀伝』の著述に力を注ぎました。しかし、1857年に平田篤胤の養子・銕胤らと不和になり、翌年には破門されてしまいます。そして、文久3年（1863年）、江戸小梅の自宅で刺客によって暗殺されました。享年52歳。暗殺の原因については、廃帝の故事を調査したことに対する尊皇派からの報復という説もありますが、真相は不明です。実行犯は島原藩の伊藤益荒と梅村真一郎とされています。墓所は東京都杉並区の長延寺にあります。

重胤の死後、その功績が認められ、大正8年（1919年）に正五位が追贈されました。

業績

重胤は、古伝に記される宗像三神と八幡信仰におけるヒメ神が同一神であることを重視し、各地で衰退していた宗像信仰の再興運動に尽力しました。彼の働きかけによって復興した神社は多く、奈良県桜井市の宗像神社はその代表的な例です。

歴史学者の荊木美行は、重胤が著した『日本書紀伝』の内容の精緻さを高く評価しています。特に、わずか9日間で脱稿されたにもかかわらず誤字脱字がほとんどない巻之十五の存在を指摘し、「もし重胤が『日本書紀伝』を完成させていれば、本居宣長の『古事記伝』と並ぶ注釈書になっていたであろう」と述べ、その早すぎる死を惜しんでいます。

関連人物

御巫清直
白石正一郎
宮負定雄
里井浮丘

関連項目

淡路市
厳島神社 (洲本市)
暗殺事件の一覧
長延寺
* 愛国百人一首

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