御幣川

御幣川（おんべがわ）について

御幣川は、三重県中北部に位置する鈴鹿川水系の一級河川です。この川の名前には特別な由来があります。かつて、御幣川で獲れる鮎が伊勢神宮に献納されており、その際、川の水面に御幣を立てて神事を行っていました。しかし、下流部に堰堤が設けられたため、現在では鮎が伊勢湾から遡上できなくなっています。これにより、以前の伝統的な行事と自然のつながりが失われつつある今の状況が伺えます。

地理的特徴

御幣川は、鈴鹿山脈の山系である仙ヶ岳の東側の山麓から始まります。そこから二つの沢が合流し、小岐須渓谷を形成しながら南東の方向へ流れています。しばらくすると台地へと出て、入道ヶ岳から流れ出る鍋川が北側から合流します。興味深い点は、この地域に平行して流れる八島川が同じ鈴鹿川水系に属していることです。この二つの川は、わずか1～2kmの距離を隔てて並行して流れています。

御幣川が東名阪自動車道と交差した後、川は少し南流に方向を変え、亀山市に入ります。約3キロメートルの流れの先には安楽川が待ち受けています。同時に流れ続けている八島川も、御幣川からごく近い距離で安楽川に注いでいるのです。

流域の自治体と観光

御幣川の流域には、三重県として鈴鹿市や亀山市が該当します。また、流域には主な支流として鍋川が存在しています。利水施設としては竜ヶ池が知られています。さらに、流域には三重県道560号鈴鹿公園長沢線や国道360号などの交通道路が並行しており、地域の交通の便を支えています。

流域には観光名所も点在しており、小岐須渓谷は自然と歴史が調和した美しい景観を楽しむことができます。また、桃林寺や鍋川沿いに位置する椿大神社も訪れる価値があります。

化石調査の取り組み

2007年より御幣川流域ではミエゾウの化石調査が開始され、これまでに牙や臼歯、肋骨などの化石が発見されています。これらの貴重な化石は、三重県総合博物館で展示されており、地域の歴史的な自然の変化を知る貴重な資料となっています。

結論

御幣川は、その豊かな歴史と自然環境、さらには文化的な背景を持つ一級河川です。川の流れや周辺の自然は、地域住民にとって大切な生活の一部であり、また観光資源としても注目されています。もっと多くの人に御幣川とその流域の魅力が伝わり、訪れる機会が増えることを願っています。

もう一度検索