御木徳一

御木徳一（みき とくはる）は、1871年（明治4年）に伊予国松山で生まれました。幼名は長次郎といい、後に日本の宗教家として活動しました。彼は、PL教団の前身であるひとのみち教団の創始者として知られています。

僧侶としての出発

御木徳一は、1879年に黄檗宗の安城寺で得度し、福山大道のもとで仏道を学び始めました。京都、東京、姫路などを巡り、仏典を深く研究しました。1893年には、安楽禅寺の住職に就任し、農村改良や社会教育、青年教育に尽力しました。しかし、1902年に安城寺の住職を再び務めることになったものの、生活が困窮し、1910年に還俗しました。

新たな道へ

1911年、御木徳一は大阪に移住し、貧困と病に苦しむ中で、御嶽教徳光大教会の教祖である金田徳光と出会いました。1916年には、長男の御木徳近とともに徳光大教会の教師となりました。金田徳光からの信頼を得て、金田の死後、その教えを継承し、1924年に徳光大教会を再建しました。

ひとのみち教団の創設

御木徳一は、金田徳光の遺言を守り、彼の教えを完成させました。1928年には、教団名を扶桑教一等直轄人道徳光教会と改称し、1931年には扶桑教ひとのみち教団とさらに改称しました。1934年には、仮本殿を建立し、教団の基礎を築き上げました。

教団の弾圧と晩年

1936年、御木徳一は教祖の地位を長男の御木徳近に譲りました。しかし、同年9月、教団幹部の娘への強姦容疑で逮捕され、教団は大きな危機に直面しました。1937年には、教義の解説書の内容が不敬にあたるとして不敬罪で追起訴され、文部省は教団の閉鎖を命じ、解散命令を下しました。

厳しい取り調べによって衰弱した御木徳一は、1938年に保釈されましたが、その直後に自宅で亡くなりました。享年67歳でした。その後、1944年に教団の不敬罪が確定しましたが、1945年のマッカーサー司令部令により無罪となりました。

御木徳一の思想と影響

御木徳一は、仏教の修行を経て、金田徳光の教えを基盤に独自の宗教観を確立しました。彼の教えは、人々の精神的な救済を目的としていましたが、その教団は急速な発展とともに、当時の社会情勢の中で弾圧を受けることになりました。彼の生涯は、新宗教の発展と弾圧という、日本の宗教史における重要な側面を映し出しています。

御木徳一の活動は、後にPL教団へと繋がっていきます。彼の教えは、現代にも影響を与え続けています。

参考資料

湯浅真生 『ひとのみち教団概要』 ひとのみち出版社、1935年12月。
久谷村史編纂委員会 『久谷村史』 1967年10月。
自然社本宮造営史編纂委員会『自然社本宮造営史』自然社、1973年10月27日。
湯浅竜起 『PL三十年史 パーフェクトリバティー教団のすべて』 芸術生活社、1977年4月。
伝記編纂委員会『金田徳光先生伝 教祖生誕百年記念出版』自然社、1993年1月。

関連事項

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