徳川埋蔵金

徳川埋蔵金とは

徳川埋蔵金とは、江戸時代末期、1867年の大政奉還の際に、徳川幕府がひそかに埋蔵したとされる巨額の軍資金のことです。幕府再興のために用意されたとされ、その財宝は金塊や貨幣であると伝えられています。今日に至るまで、多くの人々やメディアが埋蔵金の発掘を試みていますが、いまだ発見には至っていません。

埋蔵金の発端

1868年4月、江戸城が無血開城された際、財政難に苦しんでいた明治新政府は、幕府の御用金を資金源として期待していました。しかし、城内の金蔵は空っぽ。新政府は幕府が御用金を隠匿したと判断し、探索を開始しました。

探索の手は、大政奉還当時勘定奉行であった小栗忠順にまで及びました。小栗は奉行職を辞任後、上野国（現在の群馬県）に隠遁。「小栗が幕府の金を持って逃げた」という噂が広まり、ついには「利根川を遡ってきた船から、誰かが赤城山中へ何かを運び込むのを見た」という証言まで現れました。

小栗が江戸城開城に伴う幕府側の処分者の中で唯一、命に関わる刑罰（斬首）を受けたことも、「幕府の隠し金が赤城山に埋められている」という噂に拍車をかけました。人々は赤城山の各所で発掘を試みるようになったのです。

その後、赤城山に眠る徳川埋蔵金は、以下のように定義されるようになりました。

幕府の将来を憂慮した大老井伊直弼が、莫大な金を赤城山麓に埋蔵することを企画した。
井伊の暗殺後、軍学者であった林靏梁によって埋蔵が実行された。
埋蔵された額はおよそ360万から400万両。勝海舟の日記にある「軍用金として360万両有るが、これは常備兵を養う為の金で使うわけにいかない」という記述が根拠となっている。
埋蔵に際しては中国の兵法の一つである「八門遁甲」が施され、各所に偽計が張り巡らされている。
山中にある双永寺は見張り所として利用された。
小栗忠順は、機会を見て埋蔵金を掘り返し、幕府再興を画策する役割を担っていた。

埋蔵金存在の証拠？

徳川埋蔵金の存在を示す証拠として、以下のようなものが挙げられています。

東照権現の黄金像
銅製の燈明皿
大義兵法秘図書
意味不明な文字や絵図が刻まれた3枚の銅板
直径20メートルの巨大な石灰の亀
亀と同じ大きさの石灰の鶴
萬四目上覚之帳

これらの出土品は、人々のロマンを掻き立て、埋蔵金伝説をさらに盛り上げました。

各地の埋蔵金伝説

赤城山での発掘が失敗に終わる中、一部の人々は赤城山を囮だと考え、「真の埋蔵場所」を求めて各地で独自の説を唱え始めました。

日光山内
男体山、中禅寺湖、明智平
榛名山、妙義山
備前楯山
各地の東照宮

また、都市伝説として童謡「かごめかごめ」の歌詞に埋蔵金の在り処が隠されているという説も存在します。

その他の説

久能山御用金説：徳川家康が残した軍用金が埋蔵金になったという説
他家埋蔵金説：幕府が各地の大名埋蔵金を発掘し、それらをまとめて埋蔵したという説
国家予算流用説：幕府が国家予算の一部を埋蔵したという説
埋蔵金架空説：そもそも幕府に埋蔵金にあてがうだけの蓄えがなかったという説

埋蔵金発見時の所有者は？

もし埋蔵金が発見された場合、文化財保護法に基づき、文化庁長官に報告する必要があります。その後、文化庁または地方公共団体の教育委員会が発掘調査を行い、埋蔵金が徳川幕府のものであると証明されれば、大政奉還以降の取り決めにより、その所有権は政府に帰属します。発見者には、遺失物法の規定に基づき、埋蔵金の5%から20%に相当する報労金が支払われます。

メディアによる発掘

過去には、TBSのテレビ番組『ギミア・ぶれいく』をはじめ、多くのメディアが徳川埋蔵金の発掘に挑戦しました。しかし、大掛かりな発掘調査を行っても、埋蔵金に直接つながるような発見はなく、現在に至っています。

徳川埋蔵金は、今もなお多くの人々を魅了し続けるロマンあふれる伝説です。その真実が明らかになる日は来るのでしょうか。

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