徳川黎明会

公益財団法人徳川黎明会：尾張徳川家の歴史と文化を継承する

公益財団法人徳川黎明会は、東京都豊島区に本部を置く公益財団法人です。尾張徳川家から伝わる貴重な美術工芸品、古文書、歴史資料などを収集・保管し、一般公開することで、美術史や歴史学の発展に貢献しています。同会は、徳川美術館と徳川林政史研究所という二つの主要な機関を運営しています。

黎明会の設立と発展：戦前からの歴史

黎明会の設立は、尾張徳川家の第19代当主である徳川義親侯爵の美術館設立構想に端を発します。家令であった鈴木信吉氏の尽力により、1931年、財団法人尾張徳川黎明会として設立されました。設立当初から、美術品の公開だけでなく、歴史研究も重要な活動として位置づけられていました。

設立にあたっては、尾張徳川家の名古屋の大曽根邸敷地の一部を名古屋市に寄付し、その地に徳川美術館を建設することが決定されました。同時に、書籍などを収蔵する「蓬左文庫」も設置され、徳川生物学研究所と徳川林政史研究室も財団法人へと移管されました。

1932年には、東京に蓬左文庫が設置され、林政史研究室は蓬左文庫附属歴史研究室となりました。徳川生物学研究所も東京に移転し、翌1935年には、東京の蓬左文庫と名古屋の徳川美術館がそれぞれ開館しました。

戦後、財団の名称は「財団法人黎明会」に変更され、戦後の混乱期を乗り越えるために、蓬左文庫の名称と蔵書の一部を名古屋市に売却譲渡しました。しかし、蓬左文庫附属歴史研究室は、藩政資料などを引き継ぎ、徳川林政史研究所として存続しました。また、1970年には、徳川生物学研究所は閉鎖され、民間の企業に譲渡されました。

2011年には、公益財団法人に移行し、現在に至っています。

徳川美術館と徳川林政史研究所：黎明会の活動の中核

現在、黎明会は徳川美術館と徳川林政史研究所の運営管理を主な活動としています。

徳川美術館では、尾張徳川家に伝わる国宝や重要文化財を含む貴重な美術品を所蔵し、常設展や企画展を通して一般公開しています。これらの美術品は、日本の美術史研究においても重要な資料となっています。

徳川林政史研究所は、尾張徳川家に関する歴史資料を収集・研究し、その成果を学術論文や書籍、公開講座などを通して発信しています。江戸時代の藩政史研究において、重要な役割を果たしています。

これらの活動に加え、黎明会は、所蔵資料の整理・公開、展覧会や公開講座の開催など、多様な事業を行っています。これらの活動を通じて、尾張徳川家の歴史と文化を後世に伝承することに貢献しています。

黎明会の未来：文化遺産の継承と発展

公益財団法人徳川黎明会は、長年にわたる活動を通して、日本の美術史と歴史研究に大きな貢献をしてきました。現在も、貴重な文化遺産の保存と継承、そして研究活動の支援に尽力しています。今後も、徳川美術館と徳川林政史研究所を中心に、多様な事業展開を行い、日本の文化の発展に貢献していくものと期待されます。 その活動は、単なる資料の保存にとどまらず、学術研究や教育普及活動を通して、多くの人々に日本の歴史と文化への理解を深める機会を提供し続けています。

もう一度検索