徳重神社

徳重神社

徳重神社は、鹿児島県日置市伊集院町徳重に鎮座する神社です。祭神は、戦国時代の武将である島津義弘公、別名「精矛厳健雄命（くわしほこいずたけをのみこと）」です。地元では「とくしげじんじゃ」と親しまれていますが、本来は「さきへじんじゃ」と読みました。

歴史

この神社の地は、かつて義弘公の菩提寺であった妙円寺という寺院がありました。妙円寺は神仏習合の寺であり、寺の敷地内に鎮守社も存在していました。しかし、明治時代の廃仏毀釈によって妙円寺は廃寺となり、その跡地に明治4年（1871年）に創建されたのが徳重神社です。

祭祀

徳重神社では、毎年10月の第4週の土曜日と日曜日に「妙円寺詣り」という行事が行われます。これは、関ヶ原の戦いで敵中突破を成し遂げた義弘公の苦難を偲ぶもので、鹿児島市内から徳重神社までを参拝者が歩いて詣でます。この行事は、地域の人々にとって非常に重要な伝統行事です。

文化財

徳重神社には、数多くの文化財が所蔵されています。

鹿児島県指定文化財：徳重大バラ太鼓踊り
この太鼓踊りは、義弘公が泗川の戦いで敵に囲まれた際に、大太鼓を打ち鳴らし、幟を立てて味方の士気を高め勝利したという故事に由来します。直径1.5mの大太鼓を7人前後で叩き、大小の太鼓や鐘も加わって、勇壮な踊りを奉納します。特に「まくり」という場面では、大太鼓が倒れる動作や、旗を背負って踊る姿が特徴的です。
日置市指定文化財：島津義弘公御神体
この神体は、義弘公が仏師・康厳に命じて作らせた木像です。出家後の姿である袈裟を纏い椅子に座った姿で彫られており、彩色も施されています。妙円寺に納められていましたが、現在は徳重神社の神体として祀られています。
日置市指定文化財：伏波の額
薩摩藩9代藩主・島津斉宣が、藩政改革を祈念して文化3年（1806年）に奉納した額です。書跡として価値があります。

境内

神社の境内には、以下のような見どころがあります。

鳥居と拝殿
階段を上がった先に鳥居があり、その奥に拝殿があります。拝殿の前には、島津家の人々が寄進した古い石灯籠が並んでいます。これらの灯籠には、島津氏の家紋である「丸に十字」が刻まれています。今和泉家、重富島津家、垂水島津家、豊州家、都城島津家、加治木島津家など、多くの島津家ゆかりの人物が寄進しています。
島津義弘公殉死者13名地蔵塔
境内の西側には、義弘公の殉死者を弔う地蔵塔が並んでいます。元和5年（1619年）に殉死した家臣たちを悼み、義弘公の子である島津忠恒が寛永9年（1632年）に建立しました。
その他
境内には、広々とした駐車場、弓道場、相撲場があります。これらは、妙円寺詣りの行事でも使用されます。また、初詣や妙円寺詣りの際には、多くの出店が立ち並びます。
境内の西側には、妙円寺の歴代住職の墓がある裏山へと続く階段や、石仏のある場所へ続く階段があります。石仏のある場所には、廃仏毀釈によって捨てられていたとされる仁王像や馬頭観音像が安置されています。
妙円寺は、徳重神社の西側に復興されています。

まとめ

徳重神社は、島津義弘公を祀る歴史と文化に彩られた神社です。妙円寺詣りをはじめとする祭祀や、数々の文化財、境内にある史跡など、見どころが満載です。鹿児島を訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

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