志度町

志度町は、香川県の東部に位置していた自治体です。かつて大川郡に属していましたが、現在は周辺自治体との合併を経て、さぬき市の一部（小田、鴨部、鴨庄、志度、末の各地区）となっています。地理的には高松市に近く、平成12年の国勢調査では、町民の29.8%が高松市へ通勤していました。

歴史

志度町の行政区域は、町村制が施行された1890年（明治23年）2月15日に、寒川郡に属する志度村と末村が合併して志度村として誕生したことに始まります。その後、1898年（明治31年）2月11日には町制が施行され、志度町となりました。郡の所属は、1899年（明治32年）4月1日に大川郡に変更されています。

昭和の時代に入ると、周辺村との合併が進みました。1955年（昭和30年）1月1日には、大川郡に属していた志度町、鴨庄村、小田村が新たに合併し、改めて志度町として発足。さらに翌年の1956年（昭和31年）9月30日には、鴨部村が編入され、現在のさぬき市志度地区を構成する範囲がほぼ定まります。

平成の大合併により、2002年（平成14年）4月1日、大川郡の津田町、大川町、寒川町、長尾町と新設合併し、さぬき市が誕生しました。これに伴い、志度町はその歴史に幕を閉じました。合併後のさぬき市では、旧町の名称が大字に冠される形で残った地域がある中で、志度町は地名としては残されませんでした。

沿革

志度町では、近代以降、様々な社会インフラや施設が整備されてきました。郵便業務は1872年（明治5年）7月1日には既に志度郵便取扱所（現在の志度郵便局）が開設されています。

交通面では、鉄道網の整備が町の発展に寄与しました。1911年（明治44年）11月18日には東讃電気軌道（現在の高松琴平電気鉄道志度線）の志度駅が開業。続いて1925年（大正14年）8月1日には鉄道省（現在のJR四国）の高徳線志度駅も開業しました。また、近年には1998年（平成10年）3月14日にJR高徳線のオレンジタウン駅が開業し、新たな住宅地へのアクセスが向上しました。

教育施設としては、1947年（昭和22年）5月3日に志度町立志度中学校が開校しています。農業振興では、1948年（昭和23年）2月に志度町農業協同組合が設立され、地域農業を支えました（2000年4月にJA香川県へ合併）。

主要施設では、志度町役場本庁舎が1958年（昭和33年）に完成し、後に増築や移転を経て町の行政拠点となりました。文化施設では、1987年（昭和62年）3月6日には志度音楽ホールが、1991年（平成3年）8月には大規模な野外音楽広場テアトロンが開場し、文化活動やイベントの拠点となっています。

経済活動では、1977年（昭和52年）にマルナカ志度店が、1980年（昭和55年）にはタダノ志度工場が開設されるなど、商業施設や製造業も立地しました。また、1983年（昭和58年）4月1日には徳島文理大学香川キャンパスが開校し、高等教育の場も提供されるようになりました。

広域行政にも積極的に取り組み、1970年代には大川地区広域行政振興整備事務組合が設立され、税務、伝染病院、視聴覚ライブラリー、環境衛生、消防などの事務を統合し、効率化を図りました。

道路網では、高速道路として高松自動車道が整備され、1998年（平成10年）3月26日には志度インターチェンジが開通し、広域交通の利便性が向上しました。また、2001年（平成13年）3月30日には高速バスの志度バスストップも開設されています。

行政

町長としては、合併前の旧志度村長に林喬（後の衆議院議員）がいました。新志度町の町長としては、木内義矩氏、玉木栄一氏、半田俊氏、樫村正員氏、赤澤申也氏らが務めました。

大字

志度町を構成していた区域は、現在もさぬき市の大字として存続しています。旧志度町の「志度」と「末」、旧鴨部村の「鴨部」、旧鴨庄村の「鴨庄」、旧小田村の「小田」が大字としてその名を残しています。

姉妹都市・提携都市

志度町は国内外の自治体と友好交流や姉妹都市提携を結んでいました。国内では、北海道剣淵町、秋田県仙北市と1996年（平成8年）に友好交流都市提携を締結。国外では、オーストリア共和国のアイゼンシュタット市と1993年（平成5年）に姉妹都市提携を結んでいました。

交通

町内には、JR四国の高徳線と高松琴平電気鉄道の志度線が通っています。JRの志度駅は町の中心駅であり、特急「うずしお」の全列車が停車します。オレンジタウン駅も一部の特急が停車します。ことでんの琴電志度駅は志度線の終着駅です。

バス路線としては、大川自動車やコトデンバスが運行し、町内の移動や周辺地域との連携を担っていました。また、町独自の巡回バスも運行されていました。道路網は、主要幹線である国道11号が通り、高松自動車道の志度インターチェンジや志度バスストップも設置されていました。県道も複数整備されており、地域内の交通を支えていました。海上交通手段はありませんでした。

名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事

志度町には、歴史的な旧跡や豊かな自然を生かした観光スポット、年間を通じた様々な祭事・催事がありました。

宗教施設としては、四国八十八箇所霊場第86番札所である志度寺、新四国曼荼羅霊場第10番札所の自性院といった著名な寺院があります。多和神社や鴨部神社、志太張神社といった神社も地域の信仰を集めています。

観光スポットとしては、瀬戸内海の美しい景色を望むワインロードや、四国八十八景に選ばれている芝生広場を持つ大串自然公園があります。また、野外音楽広場テアトロン、志度音楽ホールといった文化施設も多くの来訪者がありました。さぬきワイナリーでは地元のワインを楽しむことができ、さぬきの森森林浴公園は自然散策に適しています。

レジャー施設としては、志度カントリークラブがあり、ここからの眺めも四国八十八景に選定されています。

年間行事としては、節分に行われる「鬼の豆もらい」、平賀源内ゆかりの「源内ふるさとまつり」、志度寺での「柴灯護摩」や「十六度市」、鴨部川での「川の市」、大串自然公園での「月見茶会」など、地域色豊かな祭りが開催されていました。特にテアトロンでの夏期のコンサートは、多くの音楽ファンを魅了しました。

名誉町民・出身人物

志度町では、地域の発展に貢献した方々を名誉町民として顕彰しました。中川以良氏、小松春秋氏、元町長の玉木栄一氏、徳島文理大学香川校開設に尽力した村崎凡人氏、タダノ志度工場開設に貢献した多田野弘氏、志度音楽ホールの名誉館長を務めたジャン＝ピエール・ランパル氏らがいます。

また、志度町出身の著名人としては、元プロ野球選手の白井一幸氏や松永昂大氏、元サッカー選手の高木和正氏、バスケットボール選手の阿部幸音氏などがいます。そして、江戸時代の天才的な発明家として知られる平賀源内先生も志度町の出身です。

志度町は、このように歴史、文化、産業、交通といった多方面において、香川県東部地域の中で重要な役割を果たした町でした。さぬき市の一部となった今も、その歴史と文化は受け継がれています。

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