志水速雄

志水速雄：政治学者、ロシア政治論の探求者

志水速雄（しみず はやお、1935年9月15日 - 1985年3月24日）は、日本の政治学者であり、特にロシア政治論を専門としていました。愛知県名古屋市で生まれ、その学術的なキャリアを通じて、ソ連研究、政治思想、そして日本人論など、多岐にわたるテーマに取り組みました。

学歴と職歴

1961年に東京外国語大学外国語学部ロシア科を卒業後、1969年には明治大学大学院を修了しました。その後、明治大学講師を経て、東京外国語大学教授として教鞭を執りました。

学生運動と思想的遍歴

1960年の安保闘争時には全学連国際部長を務め、学生運動の活動家としての側面も持っていました。しかし、その後は清水幾太郎の研究会に参加し、思想的な整理を模索。明治大学大学院ではソ連問題と政治学を研究し、対ソ警戒論を展開しました。

著書

志水速雄は多数の著書を執筆しており、そのテーマは多岐にわたります。

『現代ソ連国家論』（中央公論社［中公叢書］, 1971年）
『政治と反政治のあいだ』（ダイヤモンド社［現代選書］, 1971年）
『評伝ドストエフスキイ』（中央公論社, 1972年）
『日本人は変わったか』（日本経済新聞社［日経新書］, 1974年）
『役割喪失の時代』（日本工業新聞社, 1976年）
『新君主論――支配者の条件』（文藝春秋, 1977年）
『戦後日本に教育はなかった――誰にも不愉快な教育論』（講談社, 1977年）
『男らしさの人間学』（主婦の友社・選書, 1978年）
『日本人はなぜソ連が嫌いか』（山手書房, 1979年、新版1992年）
『新英才論』（PHP研究所, 1979年）
『昭和さすらい派の論理――「私」評論のこころみ』（PHP研究所, 1979年）
『花は半開』（サンケイ出版, 1982年）- エッセイ集
『日本人のロシア・コンプレックス――その源流を探る』（中公新書, 1984年）
『対ソ国家戦略論』（PHP研究所, 1984年）

これらの著作を通じて、彼はソ連の政治体制、日本人の国民性、教育問題、リーダーシップ論など、幅広いテーマについて独自の視点を提示しました。

共編著・訳書

志水速雄は、共編著や翻訳も手がけています。

（野々村一雄・宮鍋幟）『ソヴェト経済と利潤』（日本評論社, 1966年）
（佐瀬昌盛）『ソ連東欧』（原書房（全3巻）, 1982年-1984年）
J・サイモンズ『1930年代』（日本文献センター出版部, 1967年）
ハンナ・アーレント『革命について』（合同出版, 1968年／中央公論社, 1975年／筑摩書房［ちくま学芸文庫］, 1995年）
ハンナ・アーレント『過去と未来の間に』（合同出版（1・2）, 1970年）
ハンナ・アーレント『人間の条件』（中央公論社, 1973年／ちくま学芸文庫, 1994年）
ガエターノ・モスカ『支配する階級 現代思想9』（ダイヤモンド社, 1973年）
『「スターリン批判」　フルシチョフ秘密報告』（講談社学術文庫, 1977年）

特に、ハンナ・アーレントの著作の翻訳は、日本の思想界に大きな影響を与えました。

志水速雄は、その短い生涯の中で、政治学者として、また思想家として、多大な業績を残しました。彼の著作は、現代社会においてもなお、多くの示唆を与えてくれます。

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