宮鍋幟

宮鍋幟（みやなべ のぼる）は、1927年3月26日に生まれ、2014年8月20日に肺炎のため亡くなった日本の経済学者です。彼の専門は、ソ連経済論および社会主義経済論であり、一橋大学の名誉教授として長年にわたり研究と教育に貢献しました。

人物と経歴

東京で生まれた宮鍋幟は、1947年に旧制東京商科大学（現在の一橋大学）予科に入学しました。1953年に同大学を卒業後、大学院に進み、野々村一雄や岡稔といった著名な経済学者の指導を受けました。1956年には、一橋大学経済研究所ソ連経済部門の助手として研究生活をスタートさせました。

その後、一橋大学経済研究所助教授を経て、1967年度には外務省とソ連邦対外文化連絡国家委員会の合意に基づき、松井啓や茂田宏らと共にモスクワ大学へ派遣研究員として赴任しました。この経験は、彼のソ連経済研究に大きな影響を与えたと考えられます。

1973年からは一橋大学経済研究所教授として、久保庭眞彰と共に米欧ソ経済部門でソ連経済を担当しました。1984年には、藤野正三郎の後任として一橋大学経済研究所長に就任し、研究所の運営にも携わりました。1990年に定年退職し、一橋大学名誉教授となりました。退職後は、東京国際大学で教授を務め、後進の育成に尽力しました。

宮鍋幟は、比較経済体制学会の代表幹事や第14期日本学術会議会員を歴任するなど、学会や学術界においても重要な役割を果たしました。彼の指導を受けた学生には、西村可明（一橋大学名誉教授）、田畑伸一郎（北海道大学教授）、田畑理一（大阪市立大学名誉教授）など、多くの優れた研究者がいます。

研究テーマ

宮鍋幟の主な研究テーマは、ソ連農産物価格やソ連の経済改革でした。彼は、ソ連経済の内部構造や問題点を詳細に分析し、その成果を数多くの著作や論文として発表しました。彼の研究は、当時のソ連経済の実態を理解する上で貴重な資料となっています。

著作

宮鍋幟は、以下の著作を著しました。

『ソヴェト経済と利潤』（野々村一雄,志水速雄と共編訳）日本評論社 1966年
『ソヴェト農産物価格論』岩波書店 1967年
『ソ連経済改革の現状と展望』一橋大学 1987年

また、以下の訳書も手掛けています。

チェルダンツェフ,ニキーチン,トウトウイヒン編『ソヴェト経済地理概論』（岡稔と共訳）弘文堂 1960年
B・ダダヤン『計画経済と再生産モデル』（望月喜市と共訳）新評論 1971年
ラドスラフ・セルツキー『社会主義の民主的再生』青木書店 1983年

これらの著作や訳書は、彼の研究成果を示すものであり、ソ連経済研究における重要な貢献として評価されています。

宮鍋幟は、ソ連経済論・社会主義経済論の分野において、多大な功績を残した日本の経済学者でした。彼の研究は、今日の経済学研究においても重要な意義を持っており、後世に語り継がれるべき遺産と言えるでしょう。

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