志田延義

志田延義：日本の古代歌謡研究における巨星

志田延義（1906年-2003年）は、日本の国文学、特に古代歌謡研究において卓越した功績を残した学者です。富山県に生まれ、東京帝国大学国文科を卒業後、国民精神文化研究所に勤務するなど、波乱に満ちた経歴を持ちます。戦後、公職追放を経験するも、その後の研究活動はめざましく、日本大学や鶴見女子短期大学、山梨大学などで教鞭をとり、1957年には東京大学より文学博士号を取得。山梨大学では学芸学部長・教育学部長を務め、国語審議会委員も歴任するなど、教育と研究の両面で活躍しました。

彼の専門は日本古代歌謡であり、その研究は多岐に渡り、多くの学術論文や著書を発表しました。特に『日本歌謡圏史』は、彼の代表作として高く評価されています。さらに、後進の育成にも力を入れ、指導した学生たちは日本の国文学研究の中核を担う存在となりました。

志田延義の学問的関心の深さと幅広さは、彼が編纂・校訂に関わった多くの書籍からも窺えます。代表的なものとしては、『日本古典全集 歌謡集』や『日本古典文学大系 第44 中世近世歌謡集』などがあり、日本の古典文学研究に多大な貢献を果たしています。これらの編纂作業を通じて、彼は日本の古典文学の継承と発展に尽力しました。

また、彼は単なる研究者にとどまらず、教育者としても優れた功績を残しています。山梨大学教授在職中は、後世に繋がる人材育成に尽力し、多くの学生たちの学びを支えました。彼の教育方法や指導は、多くの学生たちに大きな影響を与え、その教え子の中には、後に日本の国文学研究を牽引する人物も輩出しています。

彼の業績を称え、1963年には日本歌謡学会が『志田延義賞』を設立しました。これは、彼の研究活動と教育への貢献が、いかに高く評価されていたかを物語っています。晩年は富山県を拠点に研究と教育活動を続け、1987年には北日本新聞文化賞を受賞しました。97歳で亡くなるまで、日本の国文学の発展に貢献し続けました。

彼の著作は多岐に渡り、『古典とその精神』『日本文学論素描』『梁塵秘抄評解』『奥の細道評釈』など、多くの書籍が現在も読まれ、研究に活用されています。さらに、晩年には随筆集なども発表しており、幅広い読者層に親しまれました。その著作群は、現代の私たちにとっても、古典文学を理解する上で貴重な資料となっています。

志田延義は、単なる学者や教育者を超えた、日本の国文学界における真の巨匠でした。彼の功績は、後世に語り継がれるべきものです。彼の生涯と業績は、日本の国文学研究の歴史の中で、永遠に輝き続けるでしょう。彼の学問への情熱、教育への献身、そして日本文化への深い愛情は、未来の研究者たちに大きな影響を与え続けることでしょう。

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