応昌期

応昌期（イン・チャンチー）：囲碁界への貢献と生涯

応昌期（おう しょうき、イン・チャンチー）は、台湾の実業家であり、囲碁ルール研究家として、特に独自の「応昌期ルール」の考案者としてその名を知られています。彼は単に新しいルールを創造しただけでなく、囲碁の普及と発展に生涯を捧げました。

生い立ちと実業家としての活躍

応昌期は浙江省寧波市に生まれ、その後上海で教育を受けました。銀行員としてキャリアをスタートさせ、台湾銀行で副総裁にまで昇進。1963年に退職後は実業界に転身し、利華羊毛工業会社をはじめとする数々の企業を設立し、経営者として成功を収めました。1988年の中華人民共和国への訪問解禁後には、故郷の寧波市に貢献するため、母校への寄付や建築材料会社の設立などを行いました。その功績が認められ、1993年には寧波市名誉市民の称号を授与されています。

囲碁への情熱と普及活動

6歳で囲碁を覚えた応昌期は、その才能を開花させました。彼は囲碁の普及と、自身が考案した計点制ルールの普及に尽力しました。1952年には台湾の囲碁組織である中国囲棋会の設立に事務局長として参画し、後に会長も務めました。呉清源を台湾に招き、林海峰との対局を企画するなど、台湾の囲碁界の発展に大きく貢献しました。

1973年には、独自の応昌期囲碁ルールを創案。1983年には応昌期囲棋教育基金会を設立し、青少年への囲碁普及と国際交流を推進しました。基金会は世界青少年囲棋大会や世界コンピュータ囲棋選手権大会などのイベントを開催し、1988年からは応昌期杯世界プロ囲碁選手権戦を開催しました。1997年からはヨーロッパ碁コングレスを後援するなど、その活動は世界規模に広がりました。

応昌期が独自のルール作りに取り組んだ背景には、1959年の呉清源と高川秀格本因坊との三番碁における終局時のコウの解消問題があったと言われています。この経験が、より明確で合理的なルールを求める動機になったと考えられます。

応昌期囲碁ルールの特徴

応昌期ルール（計点制）は、従来の数え方とは異なり、地と石の両方を数える方式を採用しています。これにより、終局時の計算が簡略化され、より明確な勝敗判定が可能となりました。また、コミの概念を導入することで、先手有利を是正し、公平性を高める工夫が凝らされています。

死後も続く貢献

1997年に癌で死去した後も、応昌期が設立した基金の活動は続いています。上海市応昌期囲碁教育基金会も設立され、2005年には上海市応昌期囲棋学校が開校しました。中国囲棋協会による昌期杯囲棋戦の創設など、彼の遺志は様々な形で受け継がれています。応昌期の活動は、囲碁の普及と発展に多大な貢献をしただけでなく、国際交流や青少年の育成にも大きな影響を与えました。

外部リンク

The ING Chang-Ki Wei-Chi Education Foundation（応昌期囲棋教育基金会サイト）
中国棋院「応昌期伝」
* 上海市応昌期囲棋学校

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