応永の外寇

応永の外寇の詳細

応永の外寇（おうえいのがいこう）は室町時代の応永26年、すなわち1419年に発生した朝鮮の対馬侵攻を指します。この出来事は「糠岳戦争」とも呼ばれ、朝鮮では「己亥東征」として記録されています。この侵攻は、当時の日本と朝鮮、また中国との複雑な国際関係に大きな影響を及ぼしました。

背景

14世紀から15世紀初頭にかけて、日本の倭寇は高麗王朝や李氏朝鮮において多くの被害をもたらしました。対馬は倭寇の根拠地とされ、1400年代初頭には倭寇の活動が一時的に沈静化しました。しかし、室町幕府の将軍、足利義持による国交の断絶が影響し、再び緊張が高まりました。

特に、応永26年5月に発生した対馬での倭寇による食糧略奪が、朝鮮による侵攻を決定づけました。朝鮮の国王は、この事態を重く受け止め、対馬遠征を命じました。

朝鮮軍の動向

朝鮮軍は李従茂を司令官として軍船227隻、兵員17,285名を編成し、65日分の食料を持参します。応永26年6月19日、巨済島から出航し、次の日には対馬の尾崎浦に到達します。最初は対馬の盗賊たちに驚かれましたが、その後、朝鮮軍は島に上陸し、敵の城を攻撃します。

攻撃の結果、朝鮮軍は129隻の船を奪い、1939戸の民家を焼き、114人を斬首し、21人を捕虜とする戦果を上げました。しかし、戦局は次第に厳しくなり、特に糠岳での戦いでは朝鮮軍左軍が対馬側の伏兵に遭遇し、甚大な損害を被ることとなります。

窮地に追い込まれる朝鮮軍

6月29日、朝鮮軍が対馬側の攻撃を受けると、李従茂は軍隊の撤収を余儀なくされます。その際、戦死者は百数十人にのぼり、朝鮮の影響力は一時的に後退した形となりました。日本側の記録でも対馬側の反撃が描かれており、異国の軍勢が甚大な損失を被ったことが記されています。

後の影響

撤退後、朝鮮では敗北の影響を直視しつつも再遠征の計画が持ち上がりますが、士気の低下や装備の破損などから実現には至りませんでした。それでもこの出来事が、その後の日朝関係や貿易に変化をもたらし、対馬の宗氏は朝鮮との通交権をほぼ独占することとなります。李氏朝鮮との嘉吉条約が結ばれることで、対馬と朝鮮の間には再び貿易が活発化しました。

このように、応永の外寇はただの軍事的事件ではなく、日朝間の交流や国際関係に影響を及ぼした重要な歴史的な出来事として位置づけられています。

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