応永地震

応永地震（おうえいじしん）

応永地震は、1408年の1月12日（ユリウス暦）または1月21日（グレゴリオ暦）に発生した地震で、日本の京都での記録が残されています。この地震は、現存する文献において最も古い地震記録の一つとされる重要な出来事であり、さまざまな資料がその影響を伝えています。

地震の発生と規模

京都にある山科教言の日記『教言卿記』には、地震が発生したのは夕方の17時から18時の間であることが記されています。この記録は、当時の動向を知るための信頼性の高い資料とされており、応永地震に関する数少ない直接的な証言といえます。

また、ほかの古文書である『熊野年代記』には、熊野本宮の湯が80日間も停止した記録や、鎌倉での地震による津波の記述も存在します。しかし、これらの記録は数世代後のものであり、直接的な証拠とは限らないため、その内容に疑問を持つ研究者もいます。

震源と被害

山本・萩原(1989)の研究によれば、地震の震源は熊野灘ではなく、京都周辺であった可能性が高いとされています。さらに『日本被害地震総覧』や『理科年表』2018年版も、これらの史料の信憑性に疑問を抱いていることを示しています。

『久御山町誌』には、12月に発生した地震によって多くの寺院や仏像が壊れたと記録されており、具体的には法蓮寺の堂が破壊されたことが示唆されています。加えて、同じ頃にも地震の記録が存在するため、年の初めに異なる地震があった可能性も考えられます。

史料の信頼性

東京大学地震研究所が収集した資料では、紀伊南牟婁郡誌における観音堂の千手観音像についての記述があり、その中で「去る亥の大地震」とという表現が登場します。この記述は、1707年の宝永地震に関しても見られるため、同じ年の地震を指している可能性が高いと考えられています。

このように歴史的な記録が重複する中で、どの地震がどの記録にかかわっているのかを明らかにすることは難しい課題です。特に文献の作成年代と、記載されている地震の情報を照らし合わせることで、より正確な理解が求められます。

結論

応永地震は、当時の社会に大きな影響を与えたことが推測される地震ですが、その詳細や直接的な影響を証明するためには、さらなる研究と証拠が必要です。歴史文献の綿密な分析によって、応永地震の全体像を把握することが求められています。

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