恋するトマト

映画『恋するトマト』詳細解説

概要

映画『恋するトマト』は、2005年に公開された日本映画で、ゼアリズエンタープライズが配給を担当しました。この作品は、集英社の文芸誌「すばる」に掲載された小檜山博の小説『スコール』を原作とし、大地康雄が企画、脚本、製作総指揮、そして主演を務めています。映画の舞台は日本の農村から始まり、物語の大部分はフィリピンへと移ります。作品では、日本の農村における嫁不足や後継者問題、結婚詐欺、そしてフィリピンにおける売春ツアーや「じゃぱゆきさん」問題など、両国が抱える深刻な社会問題が描かれています。

これらの問題に翻弄される主人公とヒロインが、人間としての尊厳と誇りを取り戻し、力強く生きていく姿が描かれています。

ストーリー

物語は、中年になっても結婚できず、老いた両親と農業を営む野田正男（大地康雄）が主人公です。彼は何度も見合いを繰り返すも失敗続きで、絶望していました。周りの農家仲間も同様に後継者不足に悩んでおり、苦渋の決断で土地を売り払う状況です。そんな中、正男は田舎暮らしに憧れる景子と婚約寸前まで進展しますが、自身の強引なアプローチが原因で破談となってしまいます。

失意の正男は、農家仲間からフィリピンパブに誘われ、そこで働くホステスのリバティと出会い、婚約に至ります。正男はリバティの両親に挨拶するためフィリピンへ渡りますが、結納金を渡した翌朝、リバティの家族は姿を消し、結婚詐欺に遭ってしまいます。リバティを派遣したタレント事務所を訪ねるも、そのような女性は知らないと一蹴され、失意のうちに放浪生活を送ることになります。

どん底の正男を拾ったのは、先のタレント事務所の社長である中田でした。中田は農村部から娘を金で買い上げ、芸事を仕込んで日本へ送り込んだり、売春ツアーを運営していました。真面目な正男は仕事に励み、中田に気に入られ、自由に仕事をする裁量を与えられます。正男はバイヤーの指示でフィリピンで貴重なリンゴやトマトを調達するうち、ホテルのラウンジで働くクリスティナ（アリス・ディクソン）と出会います。

売春ツアーの送迎中、正男は偶然にも水田で農作業をする人々に故郷を思い起こし、その中にクリスティナを見つけます。クリスティナは病気の父親の代わりに農作業を手伝っており、正男も彼女たちを手伝うようになります。正男はクリスティナと親しくなるにつれて農作業に傾倒し、フィリピンでは入手困難なトマトの栽培を提案します。トマト栽培は順調に進みますが、クリスティナが「じゃぱゆきさん」に強い嫌悪感を抱いていることを知り、正男は自身の正体を隠したまま手伝います。

しかし、正男はタレント事務所を辞めて日本に帰り、クリスティナと結婚することを決意します。中田に殴られながらも事務所を抜け出し、クリスティナに正体を明かしますが、彼女からは激しく拒絶されます。それでも正男はクリスティナの両親に挨拶をしますが、父親からは過去の日本人の粗暴さを理由に拒否されます。再びどん底に突き落とされた正男は、豪雨の中、日本へ帰国します。

しばらく経ったある日、正男が農作業をしていると、一台のバスが通り過ぎます。停留所で大きな荷物を持った人が降りてきて、近づいてくると、それはクリスティナでした。物語はそこで幕を閉じます。

キャスト

野田正男：大地康雄
クリスティナ：アリス・ディクソン
景子：富田靖子
勇作：藤岡弘、
リバティ：ルビー・モレノ
中田：清水綋治
和男：村田雄浩
野田清一（正男の父）：織本順吉
野田登美（正男の母）：いまむらいづみ
秀明：でんでん
由紀江：阿知波悟美
加奈江：あき竹城
藤本：石井光三
増田再起
篠田薫
田村泰二郎
草野康太
アレックス・アルジェンテ
アリエル・バルド

スタッフ

企画・脚本・製作総指揮・主演：大地康雄
監督：南部英夫
原作：小檜山博「スコール」（集英社刊）
プロデューサー：松本きい、松田芳樹、小坂一雄、飯田康之
ラインプロデューサー：瓜生敏彦
フィリピンプロダクションコーディネーター：小森邦昭
撮影：小松原茂
照明：三善章誉
美術：西村伸明
録音：井家真紀夫
編集：金子尚樹
音楽：寺田鉄生
音楽監修：樋口康雄
スクリプター：宮腰千代
助監督：山崎徳幸
制作担当：根津文紀
MA：映広
現像：IMAGICA
製作：「クマインカナバー」製作委員会
制作協力：株式会社レオナ
協賛：オテル・ドゥ・ミクニ
支援：文化庁
撮影協力：いばらきフィルムコミッション

外部リンク

大地康雄公式サイト
映画「恋するトマト」

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