恋人がサンタクロース

恋人がサンタクロース

松任谷由実が1980年に発表した「恋人がサンタクロース」は、そのタイトルからも想像できるように、クリスマスにぴったりな楽曲です。この曲は、彼女の10枚目のオリジナルアルバム『SURF&SNOW』に収録され、当初はアルバムの一曲として存在していました。しかし、次第にその人気は広がり、1987年公開の映画『私をスキーに連れてって』での使用により、広く認知されるようになりました。

歴史的背景

1980年代以降、日本におけるクリスマスソングの中で、この曲は山下達郎の「クリスマス・イブ」と並ぶ定番として位置付けられています。特に1982年には松田聖子が自身のクリスマスアルバム『金色のリボン』でカバーし、この楽曲の知名度を一段と高めました。さらには、松任谷由実のファン投票によるベストアルバム『Neue Musik』の収録曲決定においても、本曲は4位を獲得し、彼女の代表曲のひとつとしての地位を確立しました。

作詞・作曲は松任谷由実が手がけ、編曲は夫の松任谷正隆が担当しています。歌詞には、彼女特有の「中の上のレベルの家庭」を想起させる可愛らしさが表現されており、快適なリズム感を持つメロディはシンコペーションが多用されています。この楽曲はその後、多くのアーティストによりカバーされ続けています。

クリスマスの過ごし方の変化

コラムニストの小田嶋隆は、曲の大ヒットにより「クリスマス」が「サンタクロースと子供たちのイベント」から「恋人たちのイベント」へと変化したと指摘しています。この影響は今なお感じられ、クリスマスは恋愛の重要な時期として広く認知されるようになったのです。

参加ミュージシャン

この曲の録音には多くの才能あるミュージシャンが参加しています。ドラムには林立夫、ベースには高水健司、エレクトリック・ギターには松原正樹と今剛、キーボードには松任谷正隆が参加。パーカッションには斉藤ノブが、コーラスでは須藤薫と松任谷由実自身が声を重ねています。

Flowerによるカバー

2012年、アーティストFlowerがこの曲をカバーし、ダンサーたちが華やかなクリスマスパーティを楽しむ様子を描いたミュージックビデオを制作しました。プロデューサーの松尾潔がアレンジを手がけ、ダンス要素を取り入れたスタイリッシュな仕上がりとなっています。このバージョンは、彼女たちにとって初のカバー曲でもあり、クリスマスの雰囲気をより一層楽しめる内容です。

イベントでの活用

さらに、この曲は近年のクリスマスイベントでも活用されています。2018年には東京駅丸の内口近くの丸ビルで行われた「Marunouchi Bright Christmas 2018」でのBGMに採用され、大きなクリスマスツリーの点灯式では松任谷由実自身が参加するなど、楽曲の魅力が多くの人々に触れられ続けています。

「恋人がサンタクロース」は、時代を超えて愛される楽曲であり、クリスマスのシーズンには欠かせない存在となっています。この曲を聴きながら、大切な人と素敵な時間を過ごすのも良いのではないでしょうか。

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